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ごみ問題、解決のヒントはどこにある 京大に「ゴミ部」作った研究者に聞く

World Now
京都市内の「燃えるごみ」収集の様子
京都市内の「燃えるごみ」収集の様子=2016年、朝日新聞社撮影

■それは本当に必要なもの?

ごみ問題とは何か、ですか?

ごみって基本的に人が「いらなくなった」と思ったものです。いらないと思って捨てている状態です。「ムダの象徴、社会の矛盾の象徴」として、私はとらえています。

価値があったり使えたりするのに、もういらないと思い込み、「これ、ごみなの?」というものが日々生みだされる。つくづく「もったいない」と思ってしまう。地球の資源が枯渇しているのに、自分の首を絞めているようです。

「貝塚」じゃないですが、人類は、ごみ自体は昔から出してきました。プラスチックなど処理しにくいものが出てきて、質も変わったのは、この100年ぐらいじゃないですか。

いまは「本当に必要なものなのか」という判断もできなくなっている。大量生産・大量消費のなかで半分マヒしながら生きている。

国立環境研究所のサイトに「脱炭素型ライフスタイルの選択肢」というデータベースのコーナーがあります。「自宅に太陽光パネルを設置する」「衣類を長く着る」といった暮らしにすると、CO₂の排出量をどれぐらい減らせるかを知る参考になります。

京都大学地球環境学堂准教授の浅利美鈴さん
京都大学地球環境学堂准教授の浅利美鈴さん=大牟田透撮影

気温上昇を1.5度におさえるには、劇的に生活を変えないと無理ですが、それも実感できます。私は、自分の暮らしには自信があったのですが、結果は全然ダメでした。

私を含め、ある意味、マニアックなほど地道に取り組んでいる人たちでさえ達成できないのです。現状を変えるには、相当な力で押し戻すしかありません。

京都市では、2010年から、ごみを00年度に比べ半分以下にする目標で取り組んできて、20年度に達成しました。ごみをたくさん出すのは生活が下手くそな証拠だ、暮らしの必需品などは「清水の舞台から飛び降りる」気持ちで、いいものを買って大切に使いなさいという教えが残っていて、それを大事に引き継いでいく必要はありそうです。

でも、その先は個人の気合だけではいかんともしがたいです。社会インフラそのものを考えないと、目標に到達できない領域に入っていくのではないか。

■消費とは、企業と商品を選ぶ投票だ

私は、環境問題が盛んに言われたころ京大工学部の地球工学科に1期生として入りましたが、スキー部の活動に専念していて、真面目に通っていなかった。けがをして大学に戻ってくると、キャンパスは「24時間不夜城」のように電気がついているし、ごみも分別されないままぐちゃぐちゃだった。

これは足元から変えていかなくちゃと、「京大ゴミ部」というサークルをつくりました。当時は主義・主張の強い人の活動だと見られましたが、いまや活動は広がりを見せています。日本でも「行動を起こす系」が出てきたのは好ましいですね。

京都大学のキャンパス
京都大学=朝日新聞社撮影

消費者がパワーを持っていることを改めて認知していかなきゃいけない。消費行動は、企業と製品の選択という投票行為であることを根付かせたいです。

あと、学校教育がカタいですね。欧米では環境問題に関する子どもたちの疑問に先生だけでは答えられないので、地域のNGOや市民、大学が応援して深化させるという事例が見受けられます。表面的な課題認識にとどまらず深掘りする部分については地域の人たちや専門家がもっとサポートできるとよい。

京都市と京大、企業が連携し、廃校になった小学校を拠点に、地域の人に里山の知恵や「アップサイクル」を体験してもらっています。

アップサイクルはいい言葉ですね。ごみや環境を語るとき、「○○してはいけない」と言うことが多いですが、アップサイクルという言葉は人びとの行動を後押しする力を持っているように感じます。(構成・大牟田透)

あさり・みすず 1977年生まれ。京都大学大学院地球環境学堂准教授。環境教育論。