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東芝もみずほも……「ガバナンスの優等生」の失墜相次いだ2021年 変化の糸口は

令和の時代 日本の社長
米ハリスアソシエイツ社のエリック・リュー氏(提供写真)

■ガバナンス改革「始まったばかり」

――日本におけるコーポレートガバナンス改革は、安倍政権が進めた経済政策「アベノミクス」を追い風にするかたちで加速しました。コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が日本でも導入されてから約6年が経ちましたが、日本企業のガバナンスはよくなったと思いますか?

日本のコーポレートガバナンスは改善が進んでいると思います。ただ、ひとつ言えるのは、そもそも日本企業のガバナンス改革は非常に低い地点からスタートした、ということです。2013年に始まった、安倍晋三政権が推し進めたアベノミクスで、日本企業のガバナンスはそれ以前に比べれば改善されたと思いますが、それでも、ほとんどの先進国や一部の新興国に比べて、大きく遅れをとっていると言わざるをえません。

日本企業のガバナンス改革は、ようやく長い改革の道のりが始まったばかりで、世界水準に追いつくためには、なお大幅な改善が必要になると考えています。

――日本企業のガバナンス改革は「始まったばかり」とのことです。現在、日本企業への投資スタンスについてどう考えていますか?

投資できるか、できないかは、会社によって異なります。例えば、日本企業の中でも、トヨタ自動車やコマツ、オムロン、オリンパス、関西ペイントホールディングスなどには優れた経営陣がいて、私たちも長期にわたって投資してきました。

しかし、一方で、コーポレートガバナンスに不備がある企業や、株主にとっての価値を毀損するような経営陣が居座っている企業もあります。日本には、私たちが絶対に投資しない企業が多いのも事実です。

■変化を拒んでいては遅れを取る

――アメリカ企業の経営陣と比べて、日本企業の経営陣をどう見てますか?

残念ながら、日本企業の経営陣は、他の先進国の企業に比べて、ずいぶん守られているといえます。すなわち、業績が低迷し、資本配分が悪いにもかかわらず、経営陣が説明責任をほとんど果たさなくてもよいのです。

このような状況を改善するためには、いくつかの具体的なアクションを起こす必要があるでしょう。

例えば、パートナー企業が経営陣と一体となって議決権を行使できないように、株式の持ち合いを解消するか、大幅に縮小する必要があります。

また、取締役会の大半を、「真の意味で独立した」社外取締役で構成するべきです。大手銀行や生命保険会社、年金基金といった日本国内の投資家たちは、投資している企業が効率的に運営されることを要求するべきです。それができていなければ、臨時株主総会を招集するなどして、重要な業績評価の指標が満たされない場合には、経営陣を交代させるべきです。

――日本企業の経営は変わることができると思いますか?

もちろん、日本企業の経営者は変わることができます。人間には順応力があります。大事なのは、変われるかどうかではなく、変わろうとする意思があるかどうか、だと私は考えています。日本企業の多くの経営者たちは、経営のあり方をよい方向に変えていきたいと望んでいるかどうか、その点は疑わしいです。

残念ながら、日本企業の経営者の多くは、経営に関して古い考え方を持ち続けており、変化を望まず抵抗しているように見えます。世界各国が資本を獲得しようと競争していますが、変化を拒んでいては後れをとるだけでしょう。

■もっとダイナミズムと革新的な思考を

――日本が海外からの投資を増やすには、どうしたらよいでしょうか?

外国資本を呼び込むために、日本ができることはたくさんあります。日本企業のガバナンスを改善させるほか、労働市場の柔軟性を高めること、海外からの積極的な移民受け入れ、同じ業界の企業同士で合併・統合を促すことなどです。

さらには、アントレプレナーシップ(起業家精神)をもっと促すことも欠かせません。最初の起業でうまくいかず失敗したからといって、「汚名をきせる」ことなどあってはならないことです。日本には、もっと経済のダイナミズムと革新的な思考が必要なのです。