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「子供が話をしてくれない」原因は親の側にも 親子のパイプを目詰まりさせないコツ

アグネスの子育てレシピ
山本倫子撮影

■親子の間のパイプ

若者と子供達の自殺が増えていると新聞で知り、胸が痛くなりました。
若者の孤独が深刻化しているというのです。
特にひとり暮らしをしている若い女性は、人とのコミュニケーションが減って、ひとりぼっちになって、悩んでいるといいます。
親元から離れているので、社会の支援が必要とされています。

子供達の自殺はどう対処すればいいでしょうか。
それに対しては、まず親ができることがたくさんあります。
大人から見て、大したことがない悩みでも、子供にとっては死ぬほど深刻である場合があります。
多くの親は「うちの子に限って、自殺は考えていない」と無意識に思い込んでいるでしょう。
その思い込みは危険です。
自分の子も、もしかして、ひどく悩んでいるかもしれないと思うことが大切です。

日頃、子供とのコミュニケーションを大事にしないといけません。
私はこれまで、子供と繋がっているパイプが詰まらないように、いつも気をつけてきました。
パイプの流れがスムーズではないと、急いで掃除をします。
伝わらない原因を探して、理解し合うまで話すのです。

これをするためには、まず子供との間にパイプを持っていることが必要です。
パイプを築くためには、子供と接する時間が大切です。
いくつか自分が実践したことがあります。

朝ごはん、晩ごはんを基本的に子供達と一緒に食べました。
食卓で異変を感じたら、必ず子どもの悩みを聞き出すようにしました。
子供の気持ちに寄り添って、話を聞くのです。
そして、どうすればいいのか、お互いで考えて、解決方法を探しました。

アグネス・チャンさんと3人の息子(アグネスさん提供)

例えば、長男が中3の時に、夕飯を食べる時に、暗い顔をしていました。
聞いてみると、「本当は秘密にしたかったんだけど」と前置きをして、話してくれました。
学校である出来事があったのです。
同級生の一人がグループで論文を書くときに、インターネットの内容をコピーし、そのままペーストをして作成したのだそうです。
それがわかり、同じグループの子供達は共同責任でみんな0点になったそうです。
長男はそのグループにいなかったので、罰は受けてないのですが、先生のやり方は理不尽だと怒ってました。
「僕は抗議活動を起こす」と言うのです。

私は、長男が先生に対する抗議活動をしたら悪い印象が残って、高校の進学の時に必要な推薦文に悪影響が出るのではと心配しました。
それを長男に話しましたが、
「その他の子供達には罪がないのに、0点になったら、それこそ彼らの進学に悪い影響が出る。黙っているわけにはいけない」と、どうしても抗議活動を起こすつもりでした。
それを聞いて、「やめなさい」とは言えなくなりました。
長男をどうすれば助けられるだろうか。
どうすれば、彼が私に打ち明けて、「良かった」と思えるだろうか、と悩みました。
そこで、私は「ママも抗議活動に参加していい?」と言うことにしました。

「ママには関係ない」と長男は答えましたが、「ママだけでなく、クラスの他のママにも声をかけるから」と言ったら、長男はうなずいて「分かった」と微笑んでくれました。
私は他の親たちに連絡して、みんなで先生の採点方法に抗議することにしました。
長男のリーダーシップで、先生に考え直してもらうために活動をしました。
結果として、コピーペーストした学生は0点ですが、他の子供達は点がもらえました。
これは長男と「同志」になれた事件でした。
その後、推薦文の内容がどうなったかはわかりませんが、リスクがあっても、自分の意志を曲げなかった長男に誇りを感じました。

■子供のサインをキャッチする方法

写真はイメージ

長男がその悩みを話してくれたのは、きっとほぼ毎日一緒にご飯を食べて、絶えずに会話をしていたからです。
子供たちはいろんなサインを出してくれます。
それを逃さないためには、いつも子供の調子が分かるように気を配ることがとっても大切です。

「親は味方」と信じてくれるように親子関係を保つことが何よりも大切です。
子供は親が子供のための問題解決に全力取り組む姿を見て、信じてくれるようになります。
そして、悩みや問題ある時には相談してくれます。
息子達はあれから「クラスにいじめられている子がいる」「家に帰ってもご飯がない友達がいる」と話してくれるようになりました。その友達を家に呼んで、一緒にご飯を食べたりしました。
その度に私は息子達が話してくれたことを褒めて、必ず彼らと力を合わせて、問題の解決に力を尽くしました。
親子のパイプを作るには努力と愛情いっぱいで取り組まないと成り立ちません。
子供とのコミュニケーションのためには、パイプ作りに全力を尽くすのが第一歩です。

「ご飯は一緒に食べるけど、話をしてくれない」と嘆く友達がいます。
「うちの子に『今日どうだった?』と聞いても、いつも、『別に』『いつもと一緒』と答えるだけ」と言います。
それは、親が一方的に話を聞くだからです。

コミュニケーションは「ツーウェイ」。
子供の話が聞きたいなら、まずは自分の話も子供に話さないといけません。
私はいつも、自分のその日の出来事を子供より先に話します。どうやって面白く報告したらいいか、毎日考えています。
「今日は、コンクリートの隙間に小さな花が一輪だけ咲いているのを見つけたよ」「見て、ママが拾ったセミの抜け殻」「薬局で10%引きのクーポンをゲットした」「今日出演したテレビ番組で、10点差で優勝できなかったよ」などなど報告するのです。
その後に、「君たちの1日はどうだったの?」と聞きます。
そうすると、子供達は話しやすくなるのです。

子供達の話はどんな話であっても、興味深く聞きました。「それで?」「私が思うには」などと話を広げて、時間をかけて聞きます。
「ママは君たちの話にすごく興味ある」ということを示すのです。
そうすれば、自分の存在は親にとって大切であることを子供達は実感できるのです。
そのうちに、子供達もその日のネタを用意してみんなに報告するようになります。
「今日は枯れた木にキノコを見つけたよ」「友達とお弁当のおかずを交換したよ」などなど話してくれました。
心の通い合いはこのようにして出来るのです。
これがあれば、子供は悩みがある時も親に話しやすくなります。

写真はイメージ

さらにコミュニケーションのパイプをよりスムーズにするために、子供がどんな友達と付き合っているのかを理解するのも大切です。
そのために、我が家に息子達の友達が遊びに来やすいようにしました。
「大歓迎!」と言う雰囲気を作っていました。
友達が来るたびに楽しい思いができるように、食べ物を準備したり、面白い物語を話してあげたり、一緒にどこか遊びに行ったりしました。私が息子達の友達と仲良くなるのです。
そうすると、息子と共通の話題が増えるし、友達の性格が分かるので、何かある時にはいち早く気付きます。
学校以外の友達、年違いの友達も作れるチャンスを、たくさん息子達に与えました。
趣味のグループに参加させたり、私の友達を息子達に紹介したり、ボランティア活動に参加させて、息子の世界を広くしました。
世界が広くなると、価値観が多様化して、学校だけの閉鎖的な価値観から解放されるのです。
彼らが頼ることのできる人たちを増やす事で、相談できる相手ができます。そうすれば、一人で悩むこともなくなります。
親に言えないことがあった時も、誰かに言えるように、安全ネットを作るのです。

そこまでやらないといけないのか?と聞かれます。
そこまでやるのは難しくない事だし、実行すべきだと、私は思っています。

山本倫子撮影

子供の心はガラスのように繊細で、傷つきやすいのです。
一瞬で壊れてしまいます。
その心を強くするのはベストですが、強くになれない場合もあります。
だから、親はそのガラスにひびが入らないように、子供への愛と関心で包んであげることが大事なのです。
親だけでなく、子供の心に曇りがあるときに、それを知らせてくれる協力者を子供のそばに置いておくべきです。

日本の子供達の自殺の原因は学校でのいじめが多いようです。
子供が一人で悩んで、最悪な選択をしてしまうのは本当に残念で仕方がないです。
子供をもっと見つめて、どんなサインも見逃さないように、まわりの大人が常に気をつけているのが重要です。
実際に私は息子達に「いじめられたら、ママに言ってね。恥ずかしくないよ。問題があるのはいじめられてる人ではなく、いじめる方だから」と彼らの耳が痛くなるほど言い続けていました。
さらに「いじめられている友達がいたら、教えてね。ママに相談してね」とも言いました。
そしていつも、「悩みがあったらママに相談してね。絶対に一人で悩まないでね」とも言ってました。

■「気にするな」は禁句

学校だけでなく、最近はSNS上のいじめや誹謗中傷が過激になっています。
大人でさえ、無責任なネット上の誹謗中傷に耐えられないのに、子供にとっては過酷な状況です。
子供がそれに潰されないように、対応することがとっても大切です。

子供に「気にしない方がいいよ」と言うのは助けにならないのです。
そう言われると逆に、「耐えられない」とはあなたに言えなくなってしまいます。
むしろ、「ひどい」「許しがたい」と子供の気持ちに同情するのが大切です。
「よく耐えてるね」「強いね」「誰が書いているのか、一緒に探してみましょう」と解決法を一緒に考えてあげることが必要です。
「先生とか、その子の親に言った方がよくない?」「警察に言ってみる?」といろいろ提案しては、毎日のように一緒になって悩むだけで、子供にとっては救いなのです。

もちろん、それはいじめられている事に気づくことが大前提です。
だから日頃、子供のSNSに関心を持つことはとても大切です。
私は息子達のフェスブック、インスタグラム、Twitterなど、全部フォローしています。
彼らの友達のSNSもフォローしているのです。
何かが変だと、すぐに分かります。
綺麗な写真がアップされたら、「いいね」を入れたりします。
他の子供の投稿でネガティヴな物を見つけると、息子達に「変ね」と言ったりします。
メンバーズオンリーの場合や、LINEのようなグループには入れないけれど、他のSNSでは、かなり調子は分かります。
特に思春期の子供達は敏感なので、気をつけて、見守ってあげてください。
幸い息子達の場合は、今まで何も悪い書き込みはなかったです。
そこまでやっても、きっと息子達は私に言ってないことがたくさんあると思います。
でも少なくとも、ママはいつもあなたの味方、なんでも相談してねという「親の無条件の愛」は伝わって、息子達の支えになったと信じています。

残念ながら、世の中には、気配りができない親も存在します。
まわりに孤独な子供がいたら、寄り添ってあげてください。

今は複雑な世の中になり、子供達にまつわる環境は激変しています。
大人が「大丈夫だよ、そばにいるよ」というシグナルを絶えずに子供に送らないと、まわりの雑音で子供達に伝わらなくなってしまいます。
コロナ禍で精神的なストレスが増えている今、子供達の精神面の健康をみんなで見守っていきましょう。
我が子とのコミュニケーションのパイプが常にスムーズに流れているかどうか、気を付けましょう。
私も思わず今、LINEで「みんな元気、何もない?愛しているよ」と息子達に送りました。