1. HOME
  2. 特集
  3. コロナのいる日常
  4. 世界から「100万人」集めるバーチャルマーケット リアルと仮想を重ねる挑戦だ

世界から「100万人」集めるバーチャルマーケット リアルと仮想を重ねる挑戦だ

World Now 更新日: 公開日:
HIKKYの舟越靖代表取締役CEO

【合わせて読む】コロナ禍の中でも大にぎわい 名だたる企業も注目、そこは「バーチャルマーケット」

――新型コロナウイルスの影響で様々なイベントが中止に追い込まれています。VMは開催にあたって、影響はありませんでしたか。

ほぼありませんでした。インターネットの負荷が全世界的に高まって、ログインがしにくくなったぐらい。マイナスより、むしろプラスの影響しかない。今回の出展企業の中には、他のイベントがほぼ中止になってしまい、「VMで追加でやらせてくれ」という話もあった。

――VMは2年前に始まって、今回で4回目。参加者がここまで急増すると想像していましたか。

正直全然イメージしていなかった。最初は数千人だった。2回目で12万5千人。びっくりした。予想をはるかに超えて「これはすごいぞ」と。「じゃあ3回目」と期待が高まっていった。

HIKKYは元々、VRの中で普通に暮らす人がこれからどんどん増えると思って、その人たちにより便利な環境を作るためにはどうしたらいいか、という課題解決のために作った会社です。

自分自身の存在はリセットできませんが、アバターで自分と違う姿になって活動したら、リアルの自分より、いろんな評価が得られたり、臆せず話せるようになったりする。VRの中で暮らしたり、より深く楽しんだりするためには経済圏を作るしかない。「じゃあ、作ろう」となった。

昔は大企業などしかイベントを打たなかったのが、最近はいろいろな広告手段が出てきて、小さい企業でもバンバン打つようになってきた。そうすると、会場が不足してくる。コロナ以前から会場不足が目立っていました。その意味でも、僕は今回みたいな大騒動が起こらなくても、必ず需要があると思っていたんです。バーチャルの世界では、時間の制限もない。表現が無限に重ねられる。普通の買い物もできる。リアルのほうが秀でているものもたくさんありますが、バーチャルを重ねると非常に濃い体験ができる。僕らは、バーチャルとリアルを重ねた「パラリアル」というものを提唱しています。

東京をモデルにして作られたバーチャルマーケットの街並み。東京タワーや東京スカイツリーもある

――出展企業も増えています。

最初、企業への営業は本当に大変でした。コロナ危機の後、問い合わせは、今までの10倍では利かないぐらい増えています。先日延期が決まったドバイ万博の関係者からも相談がありました。

みなさんコロナで困っていて、相談には来るものの、まだ懐疑的なところもある。「コロナが明けたら、こんなのいらなくなっちゃうんじゃないですか」と。でも、必ず必要になるものだと確信しています。

コロナ禍で、VRを使わざるを得なくなった、というのは大きな違いです。今までは「何かおもしろそうなのがあるから、試しにやってみるか」というアプローチだった。今は、僕らみたいなことをやろうとしてる業者がたくさん誕生している。需要が確実に上がっています。

――コロナが終息した後も、社会を変える動きになっていくと思いますか。

コロナによって、例えば、完全にリモート(ワーク)にして、ストレスがたまるなど苦労や不便はあると思いますが、利便性を感じたはずです。移動時間がかからなかったり、今までより多くの仕事ができたり。実践して新しいメリットに気づき、それを必ず引きずる形になるはずです。

そうなったときに、平面のZoom(ズーム)の画面越しのコミュニケーションだけでは出来ないこと。例えばクライアントを口説くために、飲みに誘って仲良くなるなど、そういう部分をバーチャルで埋める方法がどんどん出てくるはずです。

リアルとバーチャルの世界を分けて考えるのはもったいない。リアルも大事ですし、バーチャルはすごくおもしろい。バーチャルの中だけで過ごしたい人もたくさんいて、それはそれでいい。一方で今はもう、一般の人が、バーチャルの中で作られた物を買って使っている状況も生まれている。

これからは、現実とバーチャルの世界が複雑に絡み合っていく。例えば、同じ渋谷でも、「あの渋谷」でなければいけないわけじゃない。(VRで)もっとメルヘンチックな渋谷があってもいい。複数の渋谷が混在していくのです。おもしろいですし、すごい可能性があると思います。