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夕日を明日への活力に 時代を代表する哲学者の名言

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

■今週の名言

It is almost impossible to watch a sunset and not dream.

(夕日を見て夢を見ないというのは、ほとんど不可能だ)

【動画】バーン・ウィリアムズの名言を安河内先生が解説

■名言を味わう

「夕日を見て夢を見ないのはほぼ不可能だ」という今回の名言。一体何を言いたいのでしょうか?
捉え方は人それぞれあっていいと思うのですが、夕日の美しさに感動してこそ、次の日への活力が得られるというもの。はたまた、夕日を眺めていたら何をやるべきかが急に明確になるなんてことも。美しいものを目にすることで得られるinspirationの効能を謳っているのかもしれません。

さらには、人間の生活にはある程度、精神的な余裕が必要だということを、夕日と夢になぞらえてふんわりと諭してくれている、と考えることもできそうです。

映画監督や小説家がinspirationを得るために、何もしないでぼんやりする時間をあえて作っているといった話をたまに耳にしたりします。ボーッとする時間に夕日を見て、その美しさに心を動かされる、なんてこともきっとあるのでしょう。

毎日あくせく働くビジネスパーソンにとっても、抱えた仕事をしばし忘れて夕日や大海原、大草原、満月など風景を眺めたり、芸術を鑑賞したりしてリラックスする時間は貴重ですね。

仕事で煮詰まってどうしようもなくなったら、短時間でも外に出てボケーっとしてみましょう。a sunsetを見てa dreamやa brilliant ideaが湧いてこなかったとしても、少なくともa refreshing change of pace(いい気分転換)になるはずですから。

■名言の単語ピックアップ

almost

ほとんど、だいたい

「ほとんど」という日本語訳が真っ先に思い浮かぶalmostですが、もっと多彩な意味を持った、使い勝手のよい単語です。品詞としては副詞になります。100パーセントではないけれどもほとんど、十中八九そう、ということを表します。

名言ではalmost Impossibleとあります。ただのimpossibleなら100パーセント不可能ですが、almost impossibleであれば80〜90パーセント不可能と、その確率が少し下がるのです。

日本語でも、特にビジネスの世界では「絶対不可能」というよりは、「ほとんど(ほぼ)不可能」という言い方のほうが多いのでは? これは断定を避ける意味合いもあると思うのですが、英語でも同じ感覚でalmostを使うことがよくあります。

almost impossibleのように直後に形容詞が来るのは、もっとも一般的なケースの1つです。“Almost Famous”や“Almost Blue”など映画やアルバムのタイトルにも、このパータンを見かけることがあります。

では、次の例文は、どういう意味になるでしょうか?

I’m almost as tall as my brother.

訳すと「私は、兄(または弟)とほとんど同じくらいの背丈だ」という意味になります。でもこの訳だと「私」は「兄」より背がちょっと高いのか、それとも低いのかがわかりません。almostは「ほとんど→九分どおり」となるので、厳密に言えば「私の身長が若干ではあるものの低い」ということになります。

ビジネスの例だとこんな感じでしょうか。

I’m almost ready to leave our office.

(もう少しでオフィスを出る準備ができるから)

*almost readyで「ほとんどできている、出来上がっている」という意味。料理中にThe dinner is almost ready.と言えば「あと少しでできるから」ということ。

The presentation he gave yesterday was almost perfect.

(昨日の彼のプレゼンは、ほぼ完璧だった)

*almost perfectで「ほぼ完璧、完全」という意味に。

ほかにもalmost always(たいてい、ほぼ必ず)、almost all(ほとんど全部、たいがい)、almost nothing(ほとんどゼロ<ただ>、ないに等しい)などがalmost+形容詞の代表例です。これらの用例も辞書でぜひ調べてみてください。

また、直後は形容詞ではありませんが、この2つも仕事や日常の会話の頻出表現です。

We’re almost there.

(もうすぐ着くから)

*移動中、目的地に近いことを伝える一言。

I’m almost done.

(もう少しで終わります)

*クライアントや上司、同僚などに仕事の進捗状況を尋ねられた際の受け答えのテッパン表現。

またalmostには、「もう少しで〜しそうになる、しそうになって」といった意味合いで使うこともあります。「あやうく〜するところだったよ」「すんでのところで〜しそうでさ」などのように、際どかった状況を説明することができます。

例えば、昨日の夜、仕事終わりで一緒に飲みに行った同僚に、翌朝会社で開口一番、こんなふうに報告できます。

Last night was fun but I almost missed my last train.

(昨日は楽しかったけど、あやうく終電逃すところだったよ)

*ここでのmissは「逃す」という意味。

伝達事項をあやうく忘れそうになったら、こんなふうに言います。

I almost forgot to tell you this. The three o’clock meeting tomorrow has been postponed.

(もう少しで伝えるのを忘れるとこだった。明日3時の会議は延期になったから)

仕事上の危なかった話は、ちょっと“盛って”言うことも多くなります。

My heart almost stopped when I thought I had lost the confidential document.

(あの機密資料をなくしたと思ったときには、もう心臓が止まるかと思ったよ)

*my heart almost stopped(自分の心臓がほとんど止まる)は誇張表現。I almost died...やI almost fainted...なとど死にそう、気絶しそうといった言い換えも可能。

以上の例のように、この使い方では「危なかったけど大事には至らなかった」という状況を的確に伝えることができます。イマドキの言葉で言えば、「ヤバかった」「ギリ、セーフだった」といったところでしょう。

almostは、この動詞と組み合わせたパターンも使いこなせるようになると、スピーキングで重宝しますよ。「ヤバかった」ことに遭遇したら、almost+動詞を使った英語の状況説明を頭の中ですぐ試みる習慣を今日からつけてみるのもいいかも!? きっとalmost perfectにalmostが使えるようになりますよ!

■名言を解剖する

It is almost impossible to watch a sunset and not dream.

(夕日を見て夢を見ないというのは、ほとんど不可能だ)

冒頭のitは仮主語と言われるitで、実際にはtoから後ろのことを指しています。そして、it is+形容詞+to動詞で「動詞(すること)は形容詞だ」といった意味になるのです。

さらにwatch a sunsetとnot dreamをandでつなげて、一塊の動詞として使っています。「夕日を見て夢を見ない」とセットで考えるわけです。

「見る」の動詞にはwatchが使われています。このwatchには「一定期間見守る」といった、しっかり見るというイメージがあります。同じ見るでもseeは、「ぼんやり見(え)る」感じ。「視線を向けて見る」イメージがあるlookは、seeとwatchの中間という感じでしょう。

impossibleはpossibleの反対語で「不可能な」という意味でしたね。よく使う形容詞ですが、普段の生活でimpossibleと100パーセント言い切るのは、なかなかに難しかったりするもの。繰り返しになりますが、断定、言い切りをソフトにする効果がalmostにはあるのです。

■今週の1枚

近所を散歩しながら撮った1枚です。千葉県の京葉線の高架線上に夕日がかかっている風景にたまたま遭遇。前には海があって海面もきれい。撮影しながら何だか元気になれたのは、やっぱりsunset効果なのかも!?

さて次週(2月3日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、2019年世界を席巻した、あのグレタ・トゥーンベリのHow dare you?スピーチの一節をフィーチャーします。

どうぞお楽しみに。See you next week!

(構成・山本航)

■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。