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「悪魔のささやき」が聞こえたときに思い出すべき、この名言

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」#12 Hi, everyone! 今回ご紹介するのは、アメリカの人気小説家、トム・ロビンズの名言です。本は未読ですが、彼の小説が原作でユマ・サーマン主演の映画「カウガール・ブルース」(1993)を見た記憶があります。
ちなみにカタカナ表記だと「ブルース」となるbluesは、英語の発音だと「ブルーズ」になります。さらに「ロビンス」というカタカナ表記も多々見かけるRobbinsという名前も、英語では「ロビンズ」になりますのでご注意を。
では、今週も張り切って名言を見ていきましょう!(安河内哲也)

■今週の名言

We’re our own dragons as well as our own heroes, and we have to rescue ourselves from ourselves.

(我々は自分自身の英雄であると同時に竜という獣でもある。だから己を、自分自身から救出せねばならないのだ)

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      【動画】トム・ロビンズの名言を安河内先生が解説

      ■名言を味わう

      人間には善と悪が混在し、その2つの間で常に葛藤するもの。そんななか善として自己実現をしていくためには、まずは自分自身を悪から救出することが大事、と説いています。

      1人の人間の脳内が描き出され、悪事をそそのかす悪魔と、善行を勧める天使のささやきの両方が聞こえてくるといった映像をよく見ますが、まさにそういった局面を切り取っていますよね。

      名言では悪魔としてdragonが、天使としてheroが使われています。

      善悪どちらの道を選ぶのかは、結局のところ自分次第だったりします。迷ったときには、この名言を思い出してみるといいかもしれません。

      ■名言の単語ピックアップ

      own 

      自分の、自分自身の

      形容詞ownの意味はみなさん、知っていることと思います。では、ここでクイズです。This is my report. と言うのと、This is my own report.と言うのとでは、ニュアンスにどんな違いがあるでしょうか? 

      前者は「はい、私のレポート」、後者は「これは私が本当に自分で書いたレポートです」という感じになります。

      つまり後者の一文は、「自分がやった(書いた)、自分のものである」という部分を強調するために、所有格(例文ではmy)と名詞(例文ではreport)の間にownを入れているのです。これがまず1つ目のownの使い方です。

      また形容詞としては、「独特の」「特有の」といった意味もあります。

      例:Each region of our country has its own charms.
      (我が国の各地域には、特有の魅力があります)

      またownには、「所有する、持っている」といった意味の動詞としての使い方もあります。形容詞同様、動詞の形もビジネスでよく使うのでマスターしてください。

      Ms. Brown owns this hotel.(ブラウンさんがこのホテルを所有しています)や、She owns 51 % of our company’s stock.  (彼女は我が社の株の51%を所有している)などのように、ownという動詞の働きで所有(者)を明確にすることができます。

      ちなみにこの動詞ownに「〜する人」という意味の接尾辞-erが付いたのが、ownerです。

      This is Mr. Clark, the owner of this lodge.(こちらクラークさん、この山荘のオーナーです)などと、自己紹介で使われたりもします。

      では、ビジネスの場面を想定した3つの例を挙げていきます。

      She’s happy because she finally has her own office.

      (自分だけのオフィスがやっと持てて彼女は喜んでいる)

      *所有格+(形容詞の)own+名詞のパターン。ここでは、自分専用の個室という意味合いで使われている。

      We need to make sure that we own all of the relevant patents.

      (我々は、すべての関連特許<権>を所有しているか確認する必要がある)

      *ここでのownは動詞で「(法的権利によって)所有する」という意味 。need to make sure(確認する必要がある)、relevant patent(関連特許)もビジネスの頻出表現。

      We’re all traveling to the conference together, but I will be returning on my own.

      (会議にはみんなで一緒に行くけれど、帰りは私、自分一人で帰るから)
      *on one’s own(自分で、独力で、単独で)は、ビジネスでも日常会話でもよく使う表現。You’re on your own.と部下に言えば「ぼちぼち自分でやっていこう」と自立を促すような一言になる。飲食店でAre you on your own?と尋ねられれば「お一人様ですか?」という意味に。

      ■名言を解剖する

      We’re our own dragons as well as our own heroes, and we have to rescue ourselves from ourselves.

      (我々は自分自身の英雄であると同時に竜という獣でもある。だから、己を自分自身から救出せねばならないのだ)

      所有格+own+名詞は、自分自身のものだと強調する場合に使うと、単語ピックアップの部分で説明しました。

      「なぜownが所有格の後ろにわざわざ付くのか? 不要では?」と思うかもしれませんが、日本語でも「自分自身」なとど言いますね。

      「私の車」「私自身の車」という二つの言い方がある。ですから、ownは「自身」に相当すると言っていいでしょう。

      dragonを「竜」と訳しただけでは悪者感が出ないので「竜という獣(けだもの)」と訳出しました。ちなみにdragonには、「気性の激しい人」という意味もあるそうです。

      A as well as Bは、「Bと同様にA」という意味です。どちらに焦点があるかというとAになります。

      では、逆にBに力点を置くにはどうしたらいいでしょう? 正解は、not only A but also Bです。こちらは、Bに力点が置かれています。

      ということで、名言はdragonsのほうに重きが置かれているのです。だからこそhave to rescue (救出しなくちゃいけない)という話になっていくわけです。

      ■今週の1枚

      東京都世田谷区にある等々力渓谷を散策したときの1枚です。お寺の手水舎の龍から水がしたたるところに、いい光が当たっていたので撮ってみました。

      さて次週(12月2日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、アジアの女性実業家のパワーランキングにも選出されたことのあるインド人女性の言葉をご紹介。lotus(蓮)の花を比喩に彼女が言いたかったこととは?

      どうぞお楽しみに。See you next week!

      (構成・山本航)

      ■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。