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口ばかり挟んで動かない そんな人に教えてあげたい、サルトルの名言

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」#19 Hi, everyone! 2020年、英語学習の調子はどうですか? え、3日坊主で終わった? いやいや、大丈夫! 今日からまた始めればいいんですから!
ところで今日1月13日は、成人の日ですね。英語ではComing-of-Age Dayと訳されます。日本のnational holidays(祝日)を英語では何と言うか、この機会に調べてみるのもいいかもしれません。
さて今回ご紹介するのは、著名な哲学者、サルトルの名言です。ちなみに彼の名字、英語の発音は、カタカナ表記とはかなり違います。下記の動画でも紹介していますので、Please check it out!
では、今週も張り切って名言を見ていきましょう!(安河内哲也)

■今週の名言

Only the guy who isn’t rowing has time to rock the boat.

(ボートを漕がない者だけが、ボートを揺らし波風を立てる時間がある)

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      【動画】ジャン=ポール・サルトルの名言を安河内先生が解説

      ■名言を味わう

      直訳すると「船を漕いでいない人間だけが船を揺らす時間がある」となるこの一言。実は皮肉たっぷりの比喩と言っていいでしょう。

      意味するところは、「目的に向かって一生懸命働いている人、努力している人は、波風立てている暇なんてない」。つまり、「結局のところ、暇な人だけが波風を立てたがる」ということだと思います。

      ビジネスでもプライベートでも、自分では一切動かないのに、口だけはちょいちょい挟んでくる人っていますよね? しかも、そういうタイプに限って些細なことを大ごとのように騒ぎ立てがち……。頭の中に具体的な顔が、みなさんも浮かんでいるのでは?(笑)

      この名言の比喩で肝となるのは isn’t rowingとrock the boatです。詳しくは「■名言を解剖する」で触れていますので、そちらも必ず読んでください。

      ■名言の単語ピックアップ

      only

      〜だけの、〜唯一の

      さまざまな意味を持ち用途の幅も広いonlyは、しっかり使いこなせるようになりたい単語の1つです。形容詞、副詞、接続詞と品詞も複数あり、すべてをマスターするには時間がかかりますが、ポピュラーなものから少しずつ覚えていって、実際に口に出して使ってみましょう。

      今回は最初にぜひ押さえておきたい意味を、ピンポイントで紹介します。

      1つ目はもちろん、最もポピュラーな「〜だけ」です。今回のonly the guyもそうですね。

      では、ビジネスシーンでの用例を見てみましょう。

      Only our manager can lead everybody in our department.

      (うちの部長だけが部のみんなを率いることができる)

      このように「その人しかいない」、あるいは「それしかない」のように、「しか」「だけ」と限定の意味を強調したいときにonlyを使います。

      このときonlyは、「だけ」と限定したい名詞の前に置きます。つまり日本語だと「あなただけ」となりますが、英語では順序が逆になって「only you」となるわけです。

      またonlyは動詞の直前に来て、「だけ」「しか」と動詞を限定することもあります。例えば「今日は1,000円だけしか持っていない」と言いたいのなら、I only have 1,000 yen today.とすればいいのです。

      ビジネスの例だとこんな感じでしょうか。

      We can only choose two interns from all of these excellent candidates.

      (<数多くいる>優秀な候補者たちから2人しかインターンを選べない)

      *can only chooseで「しか選べない」を表現。

      また、誰かが何かを躊躇しているときに背中を押す励ましの言葉としてYou only live once.(人生は一度きり)が使えます。

      会話例を挙げてみます。

      A: I’m not sure if I’m qualified to apply for the new managerial position.

      (新しい管理職に応募する資格が自分にあるかどうか自信がなくて)

      B: You only live once. Just go for it!

      (人生は一度きりじゃないか。挑戦してみなって!)

      相手から「どうしてそんな大胆なことをするの?」とびっくりして尋ねられた際の返答としても最適でしょう。

      ちなみにこのYou only live once.はSNSなどでは頭文字を取ってYOLOと書かれることもあるそう。ただ会話では頭字語ではなくYou only live once.ときっちり言いましょう。

      さらに、only when(〜のときだけ)もよく耳にする表現です。

      Our manager works hard only when there are other employees in the office.

      (うちの部長は、オフィスにほかの社員がいるときだけ懸命に働くよね)

      *「オフィスに自分以外誰もいない(と本人が思っている)ときはあまり働かない」ということ。

      また受験勉強でも習った、not only... but also...(〜だけではなく〜も」)もよく使う表現です。alsoはなしでも構いません。

      She speaks not only Japanese and English but also Thai.

      (彼女は日本語と英語だけでなくタイ語も話す)

      次に「だけ」「しか」と強調・限定するonly以外で、ぜひ覚えておきたい意味を紹介しましょう。

      それは、「〜になって初めて」「〜になってようやく」という意味のonlyです。

      カーペンターズのOnly Yesterdayというナンバーをご存知でしょうか? こちらの歌詞では、「昨日になってやっと」という意味になっているんです。

      該当部分の歌詞は以下の通りです。

      Only yesterday when I was sad and I was lonely you showed me the way to leave the past and all its tears behind me.

      (悲しくて独りぼっちの私にあなたは、昨日やっと<つらい>過去と涙にさよならする方法を教えてくれた)

      *歌詞にあるthe pastは、失恋を指していると思われる。

      このonlyは、ある出来事がごくごく最近起こったばかりで、あまり時間が経過していないことを強調する、と覚えておけばいいでしょう。

      この意味でのonlyを仕事や日常でよく使うのは、「共通の仕事相手や知り合いに会ったばかり」というシチュエーションでしょう。

      Oh, I saw him only yesterday.

      (あ、つい昨日彼に会ったばかりなんだ)

      ここまでのonlyの使い方をマスターしたら、辞書や参考書でほかの使い方も少しずつ学び、守備範囲を徐々に広げていってみましょう。

      ■名言を解剖する

      Only the guy who isn’t rowing has time to rock the boat.

      (ボートを漕がない者だけが、ボートを揺らし波風を立てる時間がある)

      まず、主語と述語をしっかり把握しましょう。主語はthe guyです。述語は動詞のhasです。haveでなくhasになっているのは、主語が三人称単数だから。

      普通の動詞(規則動詞)であれば、動詞の原型の最後にsが付きますが、haveの場合は不規則動詞なので、三人称単数がhasとなっているのです。

      whoはここでは「誰」という意味ではなくて、「する人」という関係代名詞の働きをしています。文法的に細かく見ていくと、whoからrowingの部分が主語のthe guyを修飾しているんです。Isn’t rowing...と否定文ですから「船を漕いでいない人が時間を持っている」となります。

      timeの直後はto+動詞ですね。このいわゆるto不定詞には、前に来ている名詞を修飾する働きがあるので、「船を揺らす時間」という意味になります。ここは、time to rock the boatで1つのかたまりだと考えるといいでしょう。

      rowは「(ボート)を漕ぐ」という意味ですが、ここでは「あくせく働く人」「多忙な人」といった意味を隠し持った暗喩のような形で使われています。

      そして直訳は「ボートを揺らす」となるrock the boatには、口語で「波風を立てる、事を荒立てる」という意味があるのです。サルトルはまさに後者の意味を意識して、この名言をひねり出したのでしょう(和訳は、わかりやすさを意識して両方の意味を入れています)。

      ■今週の1枚

      千葉県木更津市の江川海岸で撮りました。夕日の絶景が有名な海岸なので、その時間帯を見計らって訪れました。夕日の浜辺はもちろんきれいだったのですが、船が海面に映っている姿も印象的だったので、そちらにフォーカスしたカットです。

      実際の水面は緩やかに波打っていたのですが、スローシャッターを使って長く露光させることで、波の動きを平均化して鏡のように写す、そんな技法を使って撮影にチャレンジしました。

      さて次週(1月20日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、アメリカの著名な元ニュースキャスターの言葉をフィーチャーします。Me Tooムーブメントが起こる以前にTV局トップのセクハラを告発した勇気ある女性なのですが、名言からも勇敢な姿勢がじんわりと伝わってきます。

      どうぞお楽しみに。See you next week!

      (構成・山本航)

      ■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。