インドの哲学者が悩める人に送るメッセージ

では、今回も張り切って名言を紹介していきますので、最後までぜひお付き合いください。(安河内哲也)
If your eyes are blinded with your worries, you cannot see the beauty of the sunset.
(もしあなたの目がさまざまな悩みで盲目状態になってしまっていたら、夕日の美しさを見ることはできない)
「もし数々の心配で目が見えない状態になっていたら、夕日の美しさを見ることはできない」という一文ですね。
名言や格言は比喩表現であることが多いのですが、これもそう。the beauty of the sunset(夕日の美しさ)を自分の生活上でどうとらえるかは、みなさんのそれぞれの解釈に任されているのだと思います。
「夕日の美しさ」を「美しいものを愛でる余裕」と受け取る人もいるでしょうし、「普段目にする光景」を思い浮かべる人もいるかもしれません。
私の頭の中にはビジネスの光景が広がってきました。日々の仕事や雑用に追われて忙しくしていると、「あの案件、明日までに終わらせなきゃ!」「〇〇へのメール返信を忘れてた」など、心配事で頭がいっぱいになりがち。
こうなると周囲を見渡す余裕もなくなって、自分の置かれた環境がどんなにすばらしく恵まれたものなのかも忘れてしまう。心配事が重なって周りが見えないと、「自分だけなぜこんな思いをしなきゃならないの?」という不平不満がたまり、負のスパイラルに陥ってしまう。
だから、悩みが重なってもくよくよしすぎず、周囲を見渡す余裕を持とう。そうすれば、物事を俯瞰で見られるし、毎日が楽しくなる!
かなり独善的な解釈になってしまったかもしれませんが、名言をどう受け取るかは各自の自由。さて、あなたにとってのthe beautiful sunsetはなんですか?
if
もし(も)〜なら(ば)、〜の場合、〜かどうか
「ifは受験のときにみっちりやったなあ」と記憶している人も多いのでは? 「もし〜なら」という意味を持つ接続詞ですが、簡単なようでいて実は奥が深い単語です。
まず名言中のifは、「もしも〜なら〜だ」という普通の使い方をしています。文法用語的には直接法と言って、if節で現実的な条件を設定する働きを持っています。
if your eyes are blinded with you worriesとありますから「心配事で盲目状態になる(つまり周りが見えなくなってしまう)」というのは、往々にしてあること。ですから直接法となりare blinded…と普通に文をつむいでいます。if節の時制も普段使いのままでオーケーです。
例:If you are not feeling well, you should just go home now.(もし気分がすぐれないのなら、今すぐ家に帰ったほうがいいよ)
もう1つは、事実とは反する仮定の条件の話をする場合、そう仮定法の使い方です。
現在の事実に反する仮定の話をする場合は、if節は過去形になり、主節は通常wouldやshouldなど助動詞の過去形になります。
例:If you got to know him, you would definitely like him.(もし彼のことを知れば、絶対好きになるよ)
そして、過去の事実に反する仮定の話をする場合は、if節は過去完了になり、主節は通常助動詞の過去形+have+過去分詞の形が用いられます。
例:If I had had more free time, I could have seen more of Beijing.(自由時間がもっとあったのなら、もっと北京を見られたのに)
さらにifには、「〜かどうか」という使い方があります。「もしも〜なら〜だ」と同様によく使いますが、あまりなじみがないかもしれませんね。ですから今回は、この「〜かどうが」のifをマスターしましょう。
例えば、I’m not sure if he’ll come to our office tomorrow. (明日彼がオフィスに来るかどうか私はよくわかりません)というように使います。not sure ifでifの後ろが「かするかどうか」になっています。
上の例のように「かどうか」のifは、I’m not sure if…という1つのかたまりのような形でよく使います。
同じようにI wonder if…も、「かどうか」の意味でよく使うかたまりの1つです。
I wonder if our new product will be appealing enough to consumers.
(我々の新しい製品は、消費者にとって魅力じゅうぶんとなるのだろうか)
最後の「〜だろうか」は、「あるのかないのか<どっちなんだろう>」という含みがある終わり方ですね。
「かどうが」のifは、wonderやaskという動詞や、sureやcertainという形容詞などとセットで使うケースが多くなるようです。会話のときにひとかたまりが口から瞬時に出てくるように、例文を丸ごと暗記、音読していってください。
では、ビジネスシーンでの3つの例を見ていきましょう。
I’m not sure if I understand what you mean.
(おっしゃることが理解できたかどうか自分でもよくわかりません)
*I don’t understand.(わかりません)とダイレクトに言うのではなく、「自信がない、よくわからない」と、オブラートに包む言い方はビジネス英語では大切。同じように、提示案などに疑問を呈する際も、I’m not sure if that’s a good idea.(それがいい案かどうかわかりません)と、やんわり伝えることができる。
I was wondering if you could help us with our big presentation.
(来週の大きなプレゼンについて助けてもらえないかな)
*仕事で何かアシストを頼みたいときには、I was / We were wondering if you could help…は使える表現。Can you help me with…?のように、できるかできないかをダイレクトに尋ねるよりも丁寧な印象に。We were wondering if you would like to join us for a drink after work.(仕事のあとで私たちと1杯どうかなと思って)と、誘い文句としても最適。
Ask her if she’s free to meet with us tomorrow afternoon.
(明日の午後我々と会うことが可能か彼女に聞いてみて )
*ask+人+if…は、誰かにアポ取りを依頼する際のテッパン表現。また、Don’t hesitate to ask me if you have any questions.(質問があれ遠慮せず私に聞いて)と言えば、好感度アップすること間違いなし。
If your eyes are blinded with your worries, you cannot see the beauty of the sunset.
(もしあなたの目がさまざまな悩みで盲目状態になってしまっていたら、夕日の美しさを見ることはできない)
ここでのblindは、「目を見えなくする」という意味の動詞です。「目隠しをする」というような意味にもなります。be blinded と受身の形で「見えない状態になっている」ことを表現しています。
直後の接続詞withで何のせいで見えないかを説明します。名詞worry(心配<事>、苦労<の種>)の複数worriesが来ていますから、「数々の心配事で(周囲が)見えない状態」となるわけです。
Don’t worry.(心配しないで)のように、worryを動詞としてだけ覚えている人も多いと思いますが、今回のように名詞で登場することも多々ありますので、辞書で例文を見ておきましょう。
後半のyou cannot see the beauty of the sunsetでは、動詞のseeに注目してみましょう。
きっとsee=「見る」と覚えていることと思います。ただしこのlook、大きなイメージとしては「目でとらえる」なので、「視線を向けて見る」のlookや、「一定期間見守る」のwatchに比べると、見ることに意識がもっとも向いていないと言っていいでしょう。
あえて日本語にするなら「ぼんやり見(え)る」でしょうか。ここでは、cannotを伴っていますから「視界に入ってこない」。心配事で頭がいっぱいで目の前の景色も見えないという状況には、seeが最適なのです。
香港で撮りました。霞が出ていて手前の風景がぼんやりした印象になっているいっぽう、夕日はくっきり。そんなコントラストが気に入っている1枚です。 I wonder if you like it.
次週(11月18日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」では、あのキング牧師の名言をご紹介。人生で最も大切なものを、現在進行形&疑問形の文を用いて教えてくれていますよ。
では、どうぞお楽しみに。See you next week!
(構成・山本航)
■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。