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サッカーの名監督が教えてくれる、目標をつくるコツ

やる気が出る名言で学ぶビジネス英語 更新日: 公開日:
安河内哲也撮影

「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」#9 Hello, everyone! 今回ご紹介するのは、イギリスサッカー界の往年の名監督として名高い人物の言葉です。この秋はラグビーワールドッカップが日本を席巻し、来年はオリンピック! こうなったら英語学習にもスポーツを取り入れちゃいましょう。
手っとり早いのは、お気に入りの競技関連ニュースや情報を英語で入手すること。ある程度ルールがわかって人気選手も知っていれば、短い記事なら英語でも、さほど苦労しないで理解できるはず。
何より仕事で必要な英語とは違って、「理解できなくてもOK」という気楽さが◎です。また、英語のsmall talk(雑談)が大の苦手な人にとってスポーツネタは、救世主になりますよ。
野球のメジャーリーグ中継などは、副音声にすれば英語中継が聞ける機会も多いのでお試しを。海外発の情報はスポーツが題材でも歯が立たないのなら、ジャパン・タイムズ、共同通信、時事通信などの英語版記事やNHK Worldの英語ニュースから始めましょう。初心者なら、毎日ウィークリー、朝日ウイークリーといった週刊の英語学習紙がオススメです。(安河内哲也)

■今週の名言

Aim for the sky and you’ll reach the ceiling. Aim for the ceiling and you’ll stay on the floor.

(空を目標にすれば天井に手が届くだろう。天井を目標にすれば床にとどまったままだろう)

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      ビル・シャンクリーの名言を安河内哲也先生が解説

      ■名言を味わう

      「志を高く持つことはいいことだ」というメッセージを、わかりやすく示してくれる名言です。

      予備校でも受験生に「志望校は高めに設定しましょう」といった類の話をよくしますが、やはり目標は高く持っておいたほうが自分にも厳しくなり、より満足いく結果が得られるもの。

      現実的に目標を低めに設定すべきという考え方もありますが、自分の経験や周囲を見回してもみても、高く目標を掲げたほうが、もっと満足度の高い結果が得られている気がします。

      ビジネスに当てはめてみても、それなりに長い社会人生活、日々どれだけ自分に厳しく懸命に働くかは、目標設定がカギと言えるでしょう。

      ともすれば会社や上司、同僚、外部スタッフ、はたまたクライアントに頼りっきりで、惰性で仕事をしてしまう、なんて状況にも陥りかねません。私も自分自身に喝を入れるつもりで、シャンクリーの名言をたまに反すうしています。

      ■名言の単語ピックアップ

      aim

      狙う(動詞) 狙い(名詞)

      動詞、名詞のどちらでも非常によく使う単語です。名言内では、動詞の形で登場しています。

      発音は「エイム」というより「エーィム」のように「エ」を伸ばすのが特徴です。電子辞書やオンライン辞書で発音を繰り返しチェックして、あとについて聞こえる通りにマネて音読してみてください。

      2文とも命令文の出だしの動詞aimの直後には前置詞forがあります。aimは後ろに今回のforや、atという前置詞をよく伴います。

      aim for…ですが、forという前置詞には「〜を求めて」という基本の意味がありますから、「〜を目指す」「〜を狙う」という意味になります。

      いっぽうaim at…のatは「〜を目がけて」という基本の意味がある前置詞なので、狙う範囲がもっとピンポイントに。ですから、「(銃などで標的を)狙う」「〜に狙い(標準)を定める」といったように、ぎゅっと的を絞って狙う場合に使います。

      例:Our new advertising campaign is aimed at seniors.

      (我が社の新しい広告キャンペーンは、シニアを狙っています)

      名言では狭い、限定された目標ではなくて、掲げるべき大きな目標ですから、aim for…が適しているというわけです。

      それでは、aimがどんなふうにビジネスシーンで使われるか、3つの例を見ていきましょう。 ビジネスでは、よくターゲットや目標の話になったときにaimという単語を使います。

       

      Last year’s sales were good. But this year, let’s aim for a new record.

      (昨年の売り上げは上々でした。ですが今年は、過去最高の記録を目指していきましょう)

      *社の目標や狙いは、aim for…を使うと端的に説明できる。

      My motto is, “Aim high and you’ll strike high.”

      (私のモットーは「狙いが高いところにあれば当たるところもまた高い」だ)

      *“”内は、今回の名言の内容をコンパクトにしたもの。「高く狙う」はaim high、「低く狙う」はaim lowで表現できる。

      「狙い」と名詞で使う場合は、こんなふうになります。

      The aim of our foundation is to provide food for the starving.

      (我々の財団の目標は、飢えに苦しむ人々に食料を供給することです)

      *冒頭にthe aim of…(〜の狙い)を持ってくることで、何が目標なのか明確にできる。発信側、受け手側の両方の共通認識としてのターゲット、狙いの話をしているので冒頭にtheが付いている(詳しくは「名言を解剖する」を参照のこと)。

       ■名言を解剖する

      Aim for the sky and you’ll reach the ceiling. Aim for the ceiling and you’ll stay on the floor.

      (空を目標にすれば天井に手が届くだろう。天井を目標にすれば床にとどまったままだろう)

      動詞で始まる文2つから成る言葉です。前回のヘレン・ケラーに続いて今回の名言も命令文。「〜しなさい、してください」という意味になりますが、命令文の後ろにandが続くと「〜しなさい、そうすれば」となります。「〜すれば」と続いていくわけです。

      Aim for the sky and you’ll reach the ceiling.では、andの後ろがyou’ll… となっていることにも注意しましょう。これはそう、未来の予測willの省略’llですね。2文とも「〜しろ、そうすれば〜(になる)だろう」と予測で終わる、まったく同じ形になっています。

      reachは「手が届く」という意味です。stay onは「とどまり続ける、い続ける」です。

      もちろんここでのsky(空)、ceiling(天井)、floor(床)はすべて比喩。空はずば抜けて高い目標、天井はまあ手が届きそうな身近な目標を表しています。床というのは、現状のこと。stay onとあるので、現状に甘んじてしまう状況を指しているんですね。

      さて今回sky、ceiling、floorという名詞の前には全部theが付いています。このtheが付くか付かないかの判断は、私たち日本人にとってはけっこう難しいものです。

      そこまで神経質になる必要はありませんが、基本的な考え方としては、theが付く場合は、英文を書く(または話す)人も、読む(または聞く)人も、「だいたいどれか、何のことかわかる、想像できるもの」という暗黙の了解があります。

      いっぽう「いろいろあるなかの1つ」という場合は、aが付きます。

      外に出て見上げる空、自分のいる建物内の天井、床といえば、感覚としてどこにあるのか、どういったものか誰もが容易に想像できるのでtheが付いている、と考えればいいでしょう。

      誰もがパッとイメージできるからtheを伴う。言葉を発する側も受け取る側も共通の認識としてだいたい何だかわかる。「だいたい」「概ね」であるかどうかが「theのありやなしや」の判断ポイントになります。

      例文にたくさん触れていくと、その辺りの感覚が徐々につかめてくると思うので、時間があればぜひ気にかけて、チェックしていってください。

      ■今週の1枚

      機上から富士山を捉えた1枚。 通路側の窓にへばりついて、富士山を左側に見下ろしながら撮りました。いい具合に頭が出て、雲も適度にかかり、きれいなMt. Fujiでした。

      次週(11月11日更新予定)の「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は、インドの哲学者のif(もしも)で始まる名言をフィーチャー。「確かにその通り!」と、私にはすとんと腑に落ちた一言です。

       

      では、どうぞお楽しみに。See you next week!

      (構成・山本航)

      ■「やる気が出る名言で学ぶビジネス英語」は毎週月曜朝に配信します。