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ニュージャージー州、ヘアスタイルでの差別を禁止へ 全米で3州目

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2011年5月にコロンビアのカリで開かれたアフロヘアスタイル競技会で、アフリカ系コロンビア人のヘアスタイルを紹介した女性=ロイター

“NJ looks to become third state to ban discrimination based on hair”

7月30日付 ノース・ジャージー・レコード紙

 

日本で最近、地毛が茶色の生徒に黒く染めるよう強要する高校が問題になった。これは明らかに人間の自然な多様性を無視する行動なので、問題視されるのは当然のことであろう。しかし、米国にも似たような問題が最近あったことをご存じだろうか?

黒人特有のヘアスタイルが学校の規則に合っていないとして、黒人の学生が学校管理者から注意されたり懲罰されたりすることは、残念ながらまれではない。特にひどいケースでは、去年12月、レスリング大会に参加した黒人の高校生が、彼のdreadlocks(ドレッドロックス、髪の毛を縮らせて細く束ねたヘアスタイル)が規則に合わないと審判に指摘され、参加するならその場で髪を切るよう指示されたことがあった。その後、その白人審判による指示は「差別的だ」と批判の的となった。同様の問題は職場でも起こっていて、自然な黒人のヘアスタイルをする人が採用されなかったり、変えるよう言われたりするケースがある。

黒人の髪は何が特別なのだろうか?白人やアジア人に多いなめらかな直毛に比べ、黒人の髪はグルグルと縮れていて、質感はごわごわしていることが多い。広がりやすく、メンテナンスはとても難しい。ドレッドロックス、三つ編みやAfro(アフロヘア)といった自然で髪をprotective(守る、保護する)ヘアスタイルが手入れしやすいのだ。

しかし、このような黒人の自然なヘアスタイルに対する偏見や差別が根強く残っている。そのため多くの黒人が「社会は白人のような髪を期待している」と感じ、直毛にしようとchemical relaxers(縮毛矯正剤)を使っている。しかし、髪や頭皮につける縮毛矯正剤はtoxic(有害)で、子宮筋腫や乳がんを誘発する恐れがあると記事は指摘する。子どもの時から化学剤を用いてヘアスタイルを変えているため、自分の自然な髪質が分からない人もいるという。

こういった問題を受けてカリフォルニア州とニューヨーク州は最近、ヘアスタイルに基づく差別を禁止した。この記事で報道されているようにニュージャージー州も検討している。この法律は学校や雇用主に対し、表面的にはrace-neutral(全ての人種を同じように扱う)ように見えても、実はヨーロッパ的な基準を押し付け、people of color(有色人種)にdisproportionately(不均衡に)影響を与えてしまうgrooming codes(身だしなみ規則)の実施を禁止している。

ニュージャージー州で法案を提出した共同発起人は黒人女性の州議員で、ヘアスタイルは三つ編みだ。当選した際、州議会議事堂で自分のヘアスタイルがどのように見られるかracked with anxiety(不安でひどく苦しんだ)そうだ。この法案が成立して施行され、自分の娘のような若い世代が同じような心配をしなくてもすむ日が来ることを願っているそうだ。