「誰も話さないトランプの事実隠し:王様の財布は空っぽ」

“The Trump coverup no one is talking about: The emperor has no money”
5月26日付 ワシントン・ポスト紙
“The Emperor Has No Clothes”は、アンデルセンの童話「裸の王様」を示唆する表現で、明白で恥ずかしい事実が無視されている状況を指す。記事の見出しはこれにかけて、王様のように振る舞うトランプ大統領だが、足りないのは洋服ではなく、infrastructure(基盤構造、インフラ)強化のための資金だと指摘する。
アメリカの道路や橋はメンテナンスが必要で、大統領選ではインフラ強化がトランプのsignature promise(特徴的な約束)だった。だが、大統領になってから何度も「今週はインフラに集中する“infrastructure week”だ」と発表しても何も実現しないので、ワシントンではstanding joke(お決まりのジョーク)にさえなっているという。5月下旬にインフラについて民主党のペロシ下院議長らと会談したが、トランプの癇癪でblew up(失敗に終わった)。マスコミはトランプのridiculous declarations(ばかげた発言)ばかりに注目した。予算案などがあるのに、民主党下院がトランプにhold accountable(責任を負わせる)限り、民主党と協力しないという発言だ。しかし記事は、トランプによるこのtheatrics(芝居)が見事にトランプの難しい立場を隠したと喝破する。背景には、そもそも減税が難しくなるなら共和党はインフラ問題に公金を使う気はないということがある。実際、共和党のマコネル上院院内総務は同党が主導した法人税削減を少しでもroll back(取り消す)なら、インフラ強化はnonstarter(出走取り消しの馬、成功するはずないこと)と断言。民主党はビジネス界がインフラ強化をclamoring for(強く要求)するのだから、法人税率を引き上げてfoot part of the bill(費用の一部を負担する)のは合理的だと主張する。
アメリカのマスコミでは最近、「普通の」共和党員はトランプにhorrified(ゾッとして)いて、共和党はトランプにhostile takeover(敵対的乗っ取り)をされたと言われている。しかし記事は逆に、トランプが共和党にcave in(屈服する)ばかりだとし、共和党の保守的イデオローグのunder the thumb of(言いなりになっている)と主張する。裸の王様トランプにないものは、やりたい政策のための資金と胆力のようだ。