人間の機嫌をうかがうAIという新技術 「最も需要が高い業種」はどこか
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人工知能(AI)に怒りなど人間の感情を判別させる技術の開発が進んでいる。2017年に設立されたEmpath(東京)のAIは、話の内容ではなくしゃべり方に着目し、話している人の感情をリアルタイムで解析する。それを「赤は強い怒りや主張」「黄色は喜び」などと色分けしてパソコンなどの画面で見られるようになっている。
最初に約4万件の音声データを収集し、これを12人で聞いて約8割が「これは怒りだ」「これは喜びだ」と判断したものを、AIのアルゴリズムを鍛えるための「教師データ」にした。感情を判定するのは話者の声のスピードやトーン、ピッチ、ボリュームなどの要素だ。
言語を問わないため、ソフトは世界約50カ国、1500社で使用されている。最もよく使用されるのはコールセンターだという。電話をかけてきた客とオペレーターの感情を把握しながら、オペレーターがあまり落ち込まないようサポートするという。同社CSO山崎はずむ(33)は「お客様に叱られた時など、会社がサポートすることで離職率を低減させられる」と話す。
AIで人の感情を推定する技術開発はトヨタなども進めている。17年に「未来の愛車」として発表したコンセプトカーは「ドライバーの表情・動作・声色から複合的に感情や覚醒度などを推定する」という。AIの判断で自動運転に切り替えたり、ドライバーがストレスを感じていると判断した際は、照明や音楽などを使って「リラックス状態に誘導」したりするとしている。