発展のエネルギーを海外へ 中国の一帯一路構想とは
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一帯一路は、2013年に中国国家主席の習近平が提唱した陸の「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、海の「21世紀海上シルクロード」(一路)を合わせた構想だ。
沿線60以上の国の人口は世界の約6割、国内総生産で約3割に達し、鉄道や道路、港湾、通信網などのインフラ整備を目指す。最近ではデジタル分野や中南米などを含めるなど、概念や対象地域を広げている。総投資額は1兆ドル(約110兆円)規模とも見込まれ、中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)や、中国がつくった「シルクロード基金」も活用されている。
輸出や投資先の開拓とともに、中国が輸入する石油・ガスなどの資源や食糧の安定調達をはかる狙いも指摘されている。東洋学園大学教授(中国政治)の朱建栄(61)は「経済が発達して過剰生産になり、発展のエネルギーを海外に求めた。当初は発展した沿海部から海に出ようとしたが、海洋大国の米国、日本などとぶつかるので西に向かった」と分析する。一方、現状を「予想以上のスピードで進んだことで一斉に反発も出て、いったん立ち止まって軌道修正している」とみる。
安倍政権は当初は構想に距離を置き、16年8月に外交方針「自由で開かれたインド太平洋戦略」を発表。その後、北朝鮮情勢で緊張が高まるなか、17年6月に初めて協力を対外的に表明し、両国企業による「第三国」での協力を探っている。