「スポーツで難民との統合を」 五輪招致を断念したハンブルク
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ハンブルクは2024年の夏季五輪招致の是非を問う住民投票を15年11月に行い、反対が賛成をわずかに上回ったため、招致を断念した。五輪を中心に据えていたスポーツ政策から、新たな形を模索しているスポーツ政策の担当者に話を聞いた。(構成・神谷毅)
住民投票の際に市民は、国際的なスポーツ団体やイベントをめぐって汚職やドーピングが相次いでいたことに失望していたのだと思う。難民問題やテロという欧州を覆う問題もあった。五輪そのものというより、ほかの問題が判断に影響を与えたともいえる。
しかし住民投票の結果は尊重しなければいけない。私たちはすでにオリンピックの夢を追うのではなく、新しいスポーツ政策の姿を模索し始めている。
スポーツは大都市にどういう意味を持つのだろうか。例えば、難民とスポーツの結びつきを考えてみたい。スポーツは、さまざまな国や人々を結びつける力を持っている。難民が地域のスポーツクラブに入れば、難民とドイツ人がお互いをよく知ることができる。このようにして難民はドイツ社会になれていくことができる。
フィールドにいれば、イスラム教もユダヤ教もキリスト教も関係なく、同じルールでプレーする。宗教や考え方が違っても、ルールは同じなのだ。スポーツのもたらすこの意味を、私たちの社会はもっと深く受け止めなければいけない。スポーツの力を私は信じている。
ドイツも社会は高齢化している。スポーツを通じて市民の健康をどのように保つのか。これも大事な課題だ。市民がスポーツを暮らしの一つの場面として受け入れていけるような政策を行っていきたい。