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従業員を計算ドリルで特訓 プノンペンに進出した日本のホテルチェーン

World Now
総支配人の福島由貴さんと現地スタッフ=佐々木学撮影

中国語の看板が目立つカンボジア・プノンペンのダイヤモンドアイランド周辺で、なじみのある「東横INN」の文字を見つけた。23階建ての最上部に掲げられた看板は、遠くからでも目を引く。

日本のホテルチェーン大手東横インは昨年夏、「日本のビジネスマンが泊まる場所ならどこへでも」とプノンペンに進出した。清潔でシンプルな室内、ユニットバスの雰囲気も日本と同じだ。価格は15平米のシングルが39ドル、30平米のデラックスツインが59ドルなど。

ただ、328ある客室の稼働率は3割に届かず、苦戦を強いられている。周りには同じ価格帯でより広い部屋を提供している宿も多く、競争は熾烈だ。日本と同等の基準で空調や防火設備を整えており、コストがかさむ。

現地総支配人の福島由貴(43)は「これからです」と前向きだ。進出が相次いでいる日系企業への営業や、これから進出を検討する会社の視察旅行での利用で活路を見いだす。

約60人の従業員の確保には事欠かない。カンボジアの平均年齢は24.5歳。大卒で英語が話せる若者も多く、「性格は素直でまじめ。人に会うとほほえむ習慣もあって接客に向いている」。清掃スタッフは日本では50~60代が主流だが、カンボジアでは20代が多い。若い人が多いこともあり、館内の雰囲気は明るい。

ただ、「計算が不得手な子が多くて……」とも。稼働率を答えられなかったり、割引サービス後の価格を聞かれて口ごもったり。福島は、フロントスタッフに小学生用の計算ドリルを渡し、月1回の会議で「計算テスト」も実施することにした。

目標は稼働率8割。「3年後には届かせたい」

(佐々木学)
(文中敬称略)