エルサルバドルの苦境 きっかけになった17年前の大地震
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内戦からの復興に沸いたエルサルバドルをくじいたのが、2001年に起きた2度の大震災だった。計1259人が犠牲になり、被災者は約160万人を超え、親類を頼って米国に逃げる人も相次いだ。家族や地域社会は揺らぎ、その後に台頭する青少年ギャング「マラス」がつけいる隙が生まれた。当時の様子を写真でお伝えする。(GLOBE記者 村山祐介)
1月13日午前11時34分ごろ、南東部沖を震源とするマグニチュード7.7の大地震が起きた。新興住宅地への大規模な土砂崩れにより585人が死亡するなど、犠牲者は計944人に上り、約136万人が被災した。転職前の旅の途中で隣国グアテマラにいた私は翌日、首都サンサルバドルに戻り、レンタカーを借りて被災地を回った。自作のホームページをつくり、電話回線でインターネットに接続して被災地の様子を伝えた。
一カ月後の2月13日午前8時22分ごろ、今度は中部を震源とするマグニチュード6.6の地震が起きた。新たに315人が死亡し、約28万人が被災した。被災の長期化で物資が不足するなか、国道は配給を求める人々であふれ返った。デモ隊と警察隊が衝突したり、不正を疑った被災者が市長を襲ったりするなど、社会に不穏な空気が漂っていた。