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「枯渇しないが不足する」水問題の解決策とは

[PR]三菱商事
Photo by Getty Images
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 現在70億を突破した世界人口は、2050年には90億に達するとみられ、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は「2030年に世界人口の47%が水不足になる」との懸念を表明している。
 そもそも人類が使う水は枯渇しないのだろうか。地球の水循環を研究する「水文学(すいもんがく)」の第一人者である東京大学サステイナビリティ学連携研究機構の沖大幹教授はこう語る。

「水資源というのは、石油のように使った分だけ減っていくわけではありません。水は太陽のエネルギーによって循環している再生可能な資源なので、基本的になくなることはないのです」

 確かに、我々が使った水は下水として川に流れて海に達し、海水は蒸発して雲になり、雨になってまた地上に降り注ぐ。
 ではなぜ、多くの人が水不足に苦しんでいるのか。沖教授はこう続ける。

「水の分布は時間的にも空間的にも偏っているので、水が足りない季節や場所が生じたり、洪水などの水災害が発生したりする。人口の増加や経済構造の変化により都市に急激に人が集まると、水の需要も急増し、自然のままでは水資源供給が追いつかなくなってしまうのです。水は輸送コストの問題でほかの地域から大量に運んでくることが難しいローカルな資源。このため、水不足の解消にはそれぞれの地域で需要の変化に適応して、安定供給を可能にするシステムを整備していくことが不可欠です。排水の再利用、水利用の効率化などに包括的に取り組むことで、理論的には人口増加への対応は可能だと考えています」

20180627三菱商事、水資源
水資源量は人口と比例せず、地域的な偏りが大きい。 ※国土交通省のHP(世界の水資源)をもとに作成

 たとえば日本でも、都市に人口が集中していった戦後の高度経済成長期には、水不足は今よりも深刻だった。それを、水道やダムなどのインフラを整備していくことによって、問題を改善してきた。
 また、持続可能な開発目標(SDGs)の前身である「ミレニアム開発目標(MDGs)」では、1990年に比べて2015年までに、安全な飲み水へのアクセスがない人口割合を半減すると掲げられ、この目標は5年前倒しで達成された。中国とインドという二つの人口大国が経済発展した影響が大きいという。 

 多くの国は経済的に発展すると、まずは水道などの水インフラを整備する。それくらい、水は人々の暮らしに欠かせないものだ。水へのアクセスが改善され、毎日の水くみに奪われていた時間が自由になれば、人々はより高度で生産的な活動をする機会を得る。子どもたちの教育水準が向上し、女性の社会進出もうながされるなど、さらなる経済発展につながる好循環も生まれてくる。

 その一方で、世界では今も8億人以上が、自宅からの安全な飲み水へのアクセスを確保できていない。

「紛争や無政府状態、行政の力量不足などによって水道や灌漑設備などが整備・維持されていない国は、ちょっとした気候の変動でも水問題が深刻化しやすい。国際社会としても紛争の抑止や人的資本の形成など、水インフラを維持していけるような素地づくりに取り組んでいく必要があります」

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東京大学サステイナビリティ学連携研究機構の沖大幹教授

 では、我々一人一人にできることは何だろうか。前述の通り水は「ローカルな資源」なので、日本人が「節水」することが、直接に世界の水問題の解決に貢献することはなさそうだ。沖教授は、消費者が環境や社会の持続可能性に考慮してモノやサービスを選ぶ「エシカル消費」の概念が有効だと語る。

「たとえば、ある輸入食品があったとして、その食品は生産国の水資源を枯渇させないような方法で作られているか。あるいは、その製造元の企業は、世界の水問題を解決するために積極的に社会貢献をしているか。多くの消費者がこうしたことを考えてモノやサービスを選択するようになれば、生産や流通に携わる企業の意識を変えていくことができる。経済活動を通して、水問題の解決に貢献することが可能になります」

 エシカル消費を促すために始まっている例としては、熱帯雨林や水資源の保護などに配慮した農園や、その産品でつくられた商品に付与される「レインフォレスト・アライアンス認証商品」が挙げられる。認証されたことを示すカエルのマークがついた商品は、すでに日本のコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでも購入することができる。

 地球上のすべての人々が水を当たり前のように使えるようになった時、地球は〝水もしたたる〟住みよい惑星になっているに違いない。

PROFILE

東京大学サステイナビリティ学連携研究機構教授沖 大幹さん

おき・たいかん/1964年生まれ。地球上の水の循環を総合的に研究する「水文学(すいもんがく)」が専門。気象予報士の資格も持つ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書の統括執筆責任者。著書に『水の未来 グローバルリスクと日本』(岩波新書)など。国連大学上級副学長も務める。



提供:三菱商事

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