“Shocker! Facebook Changes Its Algorithm to Avoid ‘Clickbait’”
8月4日付ニューヨーク・タイムズ紙
ソーシャルメディアのサイトを見ていて、ショッキングな見出しに引き込まれて思わずクリックしたことはないだろうか? そのような見出しは大抵、何か刺激的な出来事や好奇心をそそられる発見を期待させるが、実際に記事を読むと、たいした内容がなくがっかりすることがほとんどだ。思わずクリックさせる見出しの書き方には感心するが、自分の時間が無駄にされたことに腹がたつ。このように読者の好奇心を刺激して、読ませるよう誘導する見出しは、英語でclickbaitと呼ばれている。クリックとbait(餌)を組み合わせた造語である。
clickbaitには、挑発的な、または情報のチラリズムで好奇心をあおる手段がしばしば使われている。記事によると、最近フェイスブックはそれを徹底的に分析して、clickbaitと思われる記事を識別できるようにalgorithm(アルゴリズム、ソフトウェアが使っているルール)を変更したそうだ。例えばこんな見出しは典型例である。‘When She Looked Under Her Couch Cushions and Saw THIS … I Was SHOCKED!’(彼女が長椅子のクッションの下に見たものは……なんてこった!)
アルゴリズムのtweak(調整)によってclickbaitと思われる記事は、自動的にフェイスブックのニュースフィードに登場する頻度が下がった。フェイスブックは、そのような記事をmarginalize(評価を下げ、除外)しようと試みていると説明する。その目的は、ニュースフィードのintegrity(整合性)を保ち、読者が満足してフェイスブックの閲覧に多くの時間を費やすようにするためだという。
clickbaitにいら立ちを感じていたフェイスブックのユーザーの多くは、新しい方針を喜ぶかもしれない。だが、読者を引き寄せたいサイト運営者にとってはanxiety(懸念)の種となるに違いない、と記事の筆者は言う。運営者はtraffic(自分のサイトへの訪問者)を得るためにフェイスブックに依存しているからだ。
現在フェイスブックはサイト運営者に対してdictate the terms(条件を押し付ける)強い立場にある。ただ、記事に登場するデジタルメディアへの投資家は、将来的にはそれが変わる可能性があるという。彼によると、現在は‘peak Facebook’状態にあるそうだ。
この表現はシリコンバレーでよく使われているHype Cycle(新しい技術が登場した後の動きを類型化した図)の一つの局面を示し、ある技術への期待値が最高にある段階を意味する。投資家は、たとえ今はピークでも、時間が経てば競争が激化してフェイスブックは今のdominance(支配的地位)を失い、運営者がより多くのleverage(交渉力)を持つようになるかもしれないと指摘する。
おそらくサイト運営者は、首を長くしてその日が来ることを待っているだろう。しかしそれまでは、フェイスブックのアルゴリズムに振り回される日が続くと考えられる。
(8月4日付ニューヨーク・タイムズ紙)