"Throw back this throwback: Retire the Cleveland Indians Chief Wahoo logo"
10月27日付、ニューヨーク・デイリーニューズ紙
この見出しは、2つの似た表現を使ったところに遊び心が垣間見える。テーマにちなみ野球の投球を連想させる動詞のThrow back(投げ返す)と名詞のthrowback(過去の時代への後戻り)。記事は、米大リーグ球団クリーブランド・インディアンスが「ワフー酋長」というシンボルマークを使っていることをthrowbackだと言及している。「ワフー酋長」はアメリカ先住民を戯画化したもので、真っ赤な肌、大きな歯、そして頭に付けられた羽根が特徴だ。記事の筆者である論説委員は、これをとてもcrass(粗野な)描写であると述べている。
アメリカのスポーツでは、先住民にあやかったチーム名、シンボルマーク、マスコットが少なくない。しかし1960年代以降、先住民に対するoffensive(侮辱的)かつ好ましくない固定観念を助長する恐れが指摘され、先住民からも反対の声があがった。その結果、利用するチームはどんどん減ったが、使い続けるところが一定数あるのも事実だ。
この論説委員は、スポーツにおける先住民のiconography(図像)に対するblanket prohibition(全面的な禁止)を推進しているわけではない。アトランタ・ブレーブスなど問題ないと思われるスポーツチームの例を幾つかあげている。問題視しているのは次の2つだ。インディアンスの「ワフー酋長」と米プロアメフットチームのワシントン・レッドスキンズの名前。後者はあまりにもracial slur(人種的中傷)なので、記事ではチーム名をあえて表記していない。このチーム名のportrayals(描写)は、アメリカ先住民の勇気や強さに対するdignified(気品のある)celebration(称賛)ではなく、belittling(軽視)だと受け取れるそうだ。
この記事が掲載された日、インディアンスは1948年以来となる栄冠をかけたワールドシリーズの真っ最中だった(結局、もっと長く優勝から遠ざかっていたシカゴ・カブスが勝利した)。インディアンスのシンボルマークは、かつてsocially acceptable(社会的に受け入れられた)かも知れないが、1948年あたりが最後だったのではないか。記事で論説委員はそう指摘している。
(10月27日付、ニューヨーク・デイリーニューズ紙より)