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SDGsの第一人者が語る「今が地球を守る『ラストチャンス』」

PR by 三菱商事 公開日:

——ここ数年、台風がたくさん来るようになったとか、温暖化で農作物の産地が変化しているとか、何かが以前と違うという感覚を多くの人が持ち合わせていると思います。持続可能な地球の将来を考えたとき、今という時代はどういう節目なのでしょうか。
 みんなが感じ始めているということ自体、今が危機的であることの象徴です。本当は、現象として表面化する前に対処しないといけなかった。SDGsが設定した2030年までの期間は、まさにラストチャンスととらえています。
 近年、経済成長が目覚ましい開発途上国の間でも、こうした危機意識は共有されてきています。
 SDGs策定プロセスの共同議長の一人はケニア出身の方でしたが、彼と話したときに印象的だったのは、SDGsは「きれいごと」ではなく、経済開発をする上で避けて通れない問題だという認識だったことです。社会的貧困やジェンダーの問題、環境の問題を合わせて考えないと、もう持続的に経済成長ができない、という考え方なのです。



——かつては開発と環境保護は対立する概念ととらえられていましたが、環境保護は経済開発の大前提だというふうに意識が変わってきました。

 やはり、地球環境の変化が身近に感じられるようになったことが大きい。近年、頻発する爆弾低気圧や大型台風の脅威などが、地球の気候変動と結びつけて語られることが急速に増えました。経済開発の結果としてこうした問題が起きていることを、人々が感覚としてとらえられるようになったのではないでしょうか。2015年にSDGsやパリ協定が国連で採択されたことで、政治的な空気も変わってきました。世界がサステナビリティー(持続可能性)を重視する方向に舵を切ることに国連加盟の193カ国が合意したわけです。

インタビューに答える慶應義塾大学大学院・蟹江憲史教授

——企業の関心も高まっていますね。
 SDGsの策定以降、経済界でも急速にパラダイムシフトが起きた。社会課題の解決に貢献することがマーケットでも評価されるため、チャンスととらえて動き出している企業が多いのではないでしょうか。
 SDGsはターゲットが細かく設定され、身近なことや事業と結びつけやすいということも、企業の取り組みを後押ししている一因と考えられます。

——一人ひとりに何ができるかを考えたとき、エシカル消費※(環境や社会を考えた消費)の大切さは分かりながらも、やはりコンビニでは消費期限が先の商品を取ったり、高い有機野菜より安い野菜を選んだりしてしまう。考え方を変えるのは難しいと思います。どうアプローチしていけばいいでしょうか。
 「楽しいからやる」「得をしそうだからやる」という視点が大事だと思います。電気を消したほうが、つけっぱなしにしているよりも電気代が安くつく。消したらお小遣いが増えるよ、って言ったら、子どもは喜んで消すし、フードロスも、地球全体で半減しようと言うより、今日残すものは昨日の半分にしようと言うほうが分かりやすい。身近にメリットを感じられるようなことから取り組めばいいのではないでしょうか。

(聞き手:GLOBE+ 堀内隆編集長)



エシカル消費:エシカルとは「倫理的」の意。貧困の改善や自然環境の維持など、社会的課題の解決につながる商品やサービスを意識的に選んで消費すること。そうした消費の目安としては、途上国の労働環境の改善につながるように適正な価格で取引されたフェアトレード商品や、化学肥料や農薬を使わず環境への負荷が少ない有機野菜を買うことなどが考えられる。持続可能な農業を実践する農園やその産品をもとに作られた商品に付与される「レインフォレスト・アライアンス認証商品」(カエルのマーク)もスーパーやコンビニなど身近なところで購入できる。

PROFILE

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授蟹江憲史さん

かにえ・のりちか/専門は国際関係論、地球環境政治。SDGs策定過程では研究者の立場から提言。東京大学サステイナビリティ学連携研究機構客員教授、国連大学サステイナビリティ高等研究所シニアリサーチフェローを兼任。主な著作に『持続可能な開発目標とは何か 2030年へ向けた変革のアジェンダ』(ミネルヴァ書房)など。



提供:三菱商事

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