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「占領地で私たちのアイスは売りません」 ベン&ジェリーズ、ユダヤ人創業者の宣言

ニューヨークタイムズ 世界の話題
A refrigerator bearing the Ben & Jerry's logo is seen at a food store in the Jewish settlement of Efrat in the Israeli-occupied West Bank July 20, 2021. REUTERS/Ronen Zvulun
イスラエル占領下のヨルダン川西岸にあるユダヤ人入植地エフラートの食料品店に置かれたベン&ジェリーズのアイスクリームケース=2021年7月20日、ロイター

私たちは、ベネット・コーエンとジェリー・グリーンフィールド。アイスクリームの「ベン&ジェリーズ(Ben&Jerry's。以下B&J)」社を1978年に創業した。もう、経営から退いてはいるが、この会社がこのたび決めたことへの支持をここで表明したい。(訳注=イスラエル)占領下のパレスチナで、アイスクリームの販売をやめるという決定だ。

私たち2人は、誇り高きユダヤ人でもある。それは、私たちの人間性と分かちがたく結びついており、私たちの人生を通じて自らのアイデンティティーにもなってきた。

B&J社(本拠・米バーモント州)が、世界に店を広げるようになると、イスラエルは最初の進出先の一つとなった。イスラエルという国を支持する気持ちは、当時も今も変わっていない。

ただし、イスラエルを支持しながらも、その政策のいくつかに反対することは可能なはずだ。米政府の政策に反対するのと、なんら変わりはない。

そんな観点から、私たち2人は、占領地での事業をやめるというB&J社の決定を明確に支持する。もともとこの占領は、国連を含む国際社会から違法と見なされてきた。

今は経営から完全に離れているが、私たちはこの会社に誇りを持っており、その歩みは歴史の正道をたどっていると考えている。占領地でアイスクリームを売ることをやめるのは、43年の社史の中で最も重要な決定の一つだと私たちは見ている。かなりの勇気がいることだったに違いない。

すぐに強烈な反応があることは、明らかだった。にもかかわらず、B&J社は、その事業と業務をあくまで進歩的な価値基準に合わせることにした。

私たちが(訳注=ユダヤ人として)この会社の決定を支持することには、なんの矛盾もないし、ユダヤ人を敵視・迫害する反ユダヤ主義でもなんでもない。逆に、正義と人権というユダヤ主義の核心部分を強めるものと見なすことができるし、そう見なされるべきだと信じている。

B&J社は、平和を擁護している。米軍の予算を減らすよう米議会に長らく呼びかけており、1991年の湾岸戦争には反対した。

口先だけで平和を唱えているのではない。社会的使命を帯びた最初の取り組みの一つとして、88年には独自に「Peace Pop(飛び出せ平和)」運動を始めた。平和を促すさまざまな活動に、世界各国の国防費の1%を振り向けよう――そんな構想を進める一助にするという考えだった。

Ben Cohen and Jerry Greenfield, of Ben and Jerry
米ワシントンで開かれた警察官らへの免責規定に反対する集会で、話をするベン・コーエン、ジェリー・グリーンフィールドの両氏=2021年5月20日、ロイター。左がコーエン氏

今回の会社としての決定には、こうした歩みが受け継がれていると私たちは見ている。反イスラエルということなのではない。平和のために長く取り組んできた会社の歴史を踏まえた一歩なのだ。

この決定を発表した2021年7月19日の声明でB&J社は、民主的なイスラエルの領域と、イスラエルが占領し続けている領域との間に一線を引いている。後者で販売をやめるという判断は、イスラエルへのボイコットを意味するものではない。

また、この声明は、(訳注=イスラエルに国際法違反の占領や占領地への入植活動などをやめさせるために圧力をかけるよう呼びかけている)BDS(Boycott,Divestment and Sanctions〈ボイコット、投資撤収、制裁〉)運動を認めたということでもない。

B&J社が発表した今回の決定は、自らが掲げる価値基準にその業務活動をより完全に合わせようとするものだ。イスラエルという国を否定するのとは違う。

それは、あくまでイスラエルの政策を否定しているに過ぎない。具体的には、パレスチナの占領を違法に維持することを永続化させている政策だ。それは、(訳注=イスラエルとパレスチナとの)和平の障害となり、占領下で暮らすパレスチナ人の基本的な人権を侵し続けている。

イスラエルという国を支持するユダヤ人として、イスラエルがとる政策を問うことが反ユダヤ主義になるという見解を私たち2人は絶対に受け入れることができない。

私たち2人は、この会社を去るにあたって、(訳注=現在のB&J社の親会社である)欧州の日用品・食品大手ユニリーバと買収合意協定を00年に結んだ。そこには、ユニークな企業統治の構造が記されている。それがあるからこそ、B&J社は買収された後も独立性を保ち続けたし、企業として成功し続けることができた。

この協定では、B&J社には独立した役員会を維持することが認められている。企業にとって欠かすことのできないブランドの一貫性を守り、社会的使命を追求するという道が確保されたのだった。

A Ben & Jerry
イスラエルのベール・トゥビアにあるベン&ジェリーズのアイスクリーム工場=2021年7月20日、ロイター

この社会の中で、企業活動は最も大きな力の源泉の一つになっていると私たち2人は信じている。だから、各企業はそれぞれの活力と影響力を、公益を増進させるために発揮する責任があると私たち2人は信じている。

年月を重ねるにつれて、企業活動には精神的な側面もあると私たちは信じるようにもなった。個々人の暮らしの中に、それがあるのとなんら変わりはない。

「与えれば、受け取ることにもなる」――B&J社にとって、これが企業活動の中核にあるものと私たち2人は期待している。(訳注=まず、こちらから与えれば、いずれは報われるという)その精神が、今回の決定でも発揮されたものと私たちは受け止めている。

バーモント州バーリントンにあったさびれたガソリンスタンドで、アイスクリームを売り始めたのは43年前のことだった。その容器に今も私たち2人の名前があることを、とても誇りに思っている。(抄訳)

©2021 The New York Times

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