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大谷翔平の活躍、米メディアの表現も「規格外」 ありきたりの言葉では表せない

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打席に入る準備をする大谷翔平選手=5月16日、USAトゥデー・ロイター

大谷翔平はアメリカの娯楽が必要とするスターだ
Shohei Ohtani Is Just the Star America’s Pastime Needs
7月12日付 ニューヨーク・タイムズ紙

大谷翔平は今年の大リーグ野球で素晴らしい実績を出し、breakout(大ブレーク)している。ピッチングもヒッティングも非常にうまい。このようなスキルがそろったプレーヤーは近年存在せず、何世代かぶりのbona fide(本物の)二刀流選手である。伝説の野球選手、ベーブ・ルースと比較されるほどである。

今年のシーズン中、多くのホームランを量産し、圧倒的な数字をたたき出している。7月のオールスターにおいては、本塁打競争に参加する最初の日本人となった。出場するだけでも、オールスターという伝統にinjected new life into(新たな活気を与えた)ようだ。突然現れた彼は、野球界において無視できない存在になった。

大谷選手のawesome athleticism(素晴らしいスポーツ能力)を説明するために、アメリカのマスコミや野球関係者は面白い言葉を選んでいる。ニューヨーク・タイムズは彼がbending the arc of what is possible(「出来ること」についての概念をねじ曲げている)と述べ、one of the greatest spectacles in all of sports(スポーツ全体の最もすごい光景の一つ)と評す。

ホームランの場合、動詞としてhitが使われるのが普通だが、大谷の場合はunleashed(爆発させる)が使われ、それを見た人はstunned reverence(あぜんとした尊敬)を感じるという。ワシントン・ポストはunprecedented(前例のない)という言葉を使った。ボストン・レッドソックスのプレーヤーは大谷をspectacular(壮大な)選手だと言い、同チームのマネジャーは彼がa different breed(他の選手と比べて別格)であると述べる。アストロズのプレーヤーは彼がnight in and night out(毎晩毎晩)、performing at the highest level(最高のパフォーマンスをしている)とコメントして、super special(非常に特別)という表現も使う。

大谷選手について語るのに適切な言葉を見つけることに苦しむ人もいる。大リーグ野球選手会のエグゼクティブ・ディレクターは「正直に言うと、似たような選手を見たことがない」と言い、大リーグ機構のコミッショナーは「彼に関してすでに言われたり書かれたりしている以上のことは何も言えない。It kind of speaks for itself(ある意味では、目に見えるから言葉を追加する必要はない)」と言う。

大谷選手のような天才プレーヤーが現れたことは様々な意味でタイミングが良かった。近年、大リーグ野球はlisting(衰退して)おり、years gone by(昔)のような高い人気が無くなりつつある。野球を見る人の数は減少し、国民の関心は、よりエキサイティングだと思われているバスケットボールを始めとした、他のスポーツに移っているようだ。また、新型コロナウイルス拡大の影響も受けている。

大谷は野球全体を助けているだけでなく、アジア系アメリカ人にとっても特別な意味を持つ。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が中国で始まった結果、アジア系アメリカ人に対する差別やヘイトクライムが増え、彼らはconstant state of siege(絶えずに包囲攻撃を受けているような状態)での生活を余儀なくされている。そんな中、アジアの選手がいまだにAmerica’s pastime(国民的娯楽)と呼ばれているスポーツを席巻している光景を見ることは大変うれしいことだ。ある日系アメリカ人は、大谷選手の活躍は「私たちのコミュニティーにとってmeans a ton(非常に大きな意味を持っている)、特に今は」と述べる。

ある記者がたくさんのアジア系アメリカ人にインタビューを行ったところ、コロナに関連する恐れや差別による苦しみについての話をたくさん聞いたそうだ。その一方で、大谷選手のmagisterial(権威ある)シーズンが彼らをsoothing(慰め)かつbolstering(元気づけ)ているという話も聞いたという。大谷選手の強さとmoxie(ガッツ)、そして野球界で数少ないアジア人選手が活躍する光景を見ることで、アジア系アメリカ人は勇気をもらっているそうだ。

大谷選手に関する報道を読むと、興味深い点がある。彼の性格や言動など、スポーツの技術以外の側面に関する話が出る度に、日本人の典型的な美徳がよく現れていると感じるのである。(今回取り上げた記事では、それを指摘したものはないが、日本の文化を知っている私が読むと、そのような側面に注目してしまう)。例えば、オールスターでは、多くの選手が出場を辞退した本塁打競争に、大谷選手は「依頼があった」という理由で参加したという話を聞くと、日本的な「頑張る」精神を感じる。ゲームの最初にバッターボックスに入るときは、ダッグアウトに手を振ってあいさつをして尊敬を示す、ということもそうだ。

また、インタビューを受けると、ストライクやホームラン以外のトピックに関してはcircumspect(慎重かつ、あまり発言しない)姿勢をとる。例えば、「歴史的なシーズンを送っているか」と聞かれたら「jump to conclusions(結論に飛び付く)まねをしたくない」といった謙遜した回答をする。本塁打競争を見るために早起きする日本のファンへのメッセージを求められた際も、「自分だけではなくて、参加している8人のメンバー全ての活躍を見て欲しい」と答えた。self-deprecating(自分を卑下する)ユーモアもよく使う。そしてcheer on(応援して)くれるファンに対する感謝もきちんと述べている。

私が彼の態度に関するこうした記事を読むと、彼はいかにも日本的だと感じながら、それがアメリカで評価されていることをうれしく思う。


大谷翔平はアメリカの娯楽が必要とするスターだ
Shohei Ohtani Is Just the Star America’s Pastime Needs
7月12日付 ニューヨーク・タイムズ紙

大谷翔平は野球が必要とは思いもしなかったスターだ
Shohei Ohtani is the star that baseball never knew it needed
7月14日付 ワシントン・ポスト紙

大谷翔平は「超特別」で我々の注目を値する
Shohei Ohtani is 'super special' and deserves our attention
7月9日付 ヒューストン・クロニクル紙

大谷翔平に匹敵する野球選手はベーブ・ルースだけでしょうか?
Is Babe Ruth the only player baseball has ever seen who compares with Shohei Ohtani?
7月10日付 ボストン・グローブ紙