ツィマノウスカヤ選手はロイターに対し、帰国の計画はないと説明。空港の警察に保護を求めたとした。「ベラルーシには帰らない」と、メッセージアプリを通じて語った。
ベラルーシのオリンピック委員会は、ツィマノウスカヤ選手の「感情的、精神的な状態」に関する医師の判断に基づき、コーチ陣が同選手の欠場を決めたとする声明を出した。ロイターは追加のコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。
ロイターの写真記者は、ツィマノウスカヤ選手が警察と一緒にいるところを目撃した。同選手は「私は安全」、「警察と一緒にいる」とロイターに語った。
政治的な理由で投獄されるなどした選手を支援するベラルーシの団体関係者によると、ツィマノウスカヤ選手はドイツあるいはオーストリアへの亡命を求めている。
ツィマノウスカヤ選手はメッセージアプリを通じ、国際オリンピック委員会(IOC)に介入を求めている。
IOCは同選手と話したとし、東京大会の関係者が空港で付き添っていると明らかにした。ツイッターで「同選手は安全と感じていると語った」とした。
また、IOCと東京大会組織委員会がツィマノウスカヤ選手や当局との対話を続け、「今後数日中に次の措置を決定」する考えを示した。
■荷物をまとめるよう指示
ツィマノウスカヤ選手によると、1日に部屋へ来たコーチらが荷物をまとめるよう彼女に指示。空港へ連れていかれた。同選手は2日の陸上女子200メートルと5日の1600メートルリレーに出場予定だった。
同選手は、「インスタグラムでコーチ陣の怠慢に言及した」ため代表チームから引き離されたと語った。
ツィマノウスカヤ選手は以前、一部の代表選手がドーピング検査を十分に受けず、五輪への出場資格がないことが分かり、自身がリレーにエントリーされたと話していた。
同選手はメッセージアプリを通じ、「リレーに出場予定の一部選手が十分なドーピング検査を受けなかったため日本に来なかった」とロイターに語った。「それで私は知らぬ間にリレーにエントリーされていた。私はこれを公言した。ヘッドコーチがやって来て、私を除外するよう上から言われたと説明した」
ベラルーシのルカシェンコ大統領は、旧ソ連の同国を厳しく支配している。昨年の選挙は不正との批判を受け、抗議デモを暴力で弾圧。選挙に不正はなかったと主張している。
選手が政府からの支援に依存する国としては珍しく、ベラルーシではアスリートも抗議に参加、複数が投獄されたり、代表チームから外されている。