女性の名前はオリガ・ルイパコワさん。開会式では男性選手とともに旗手を務めた。光沢のある白いドレスのような民族衣装を着たルイパコワさんが現れると、Twitterで注目が高まった。
衣装には独特な刺繡(ししゅう)が施され、ティアラのような装飾品とイヤリングも身につけていた。折しも会場では人気ゲームソフト「ファイナルファンタジー(FF)」の音楽が流れていたことから、「リアルFF」などと喜ぶ投稿も相次いだ。
#teamkz flag bearers in Tokyo 2020 Opening Ceremony 😍😍😍
— Kazakhstan Olympic Team (@olympic_kz) July 23, 2021
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カザフスタンのメディアによると、ルイパコワさんが着ていた衣装は、最大都市アルマトイにある国立美術館のスタッフのアドバイスを受け、カザフの伝統的な装飾をちりばめてデザインされたという。
開会式前、カザフ選手団の公式サイトからインタビューを受けたルイパコワ選手は「この衣装はユニークで、モダンと伝統が融合している。芸術的にも高い作品で、作ってくれた方に心から感謝したい」と述べていた。
さて、そんな彼女が出場する競技は陸上女子三段跳びだ。183センチの長身と広いストライドから繰り出す抜群の跳躍力が持ち味で、15.25メートルのアジア記録を持っている。
オリンピックでも、初出場の2008北京大会で銀メダル、2012ロンドン大会では金メダル、さらには2016リオデジャネイロ大会では銅メダルを獲得した。
ルイパコワさんは現在36歳。陸上400メートル選手のデニスさんと結婚し、一男一女の母親でもある。子育てとアスリートとしての活動を両立させ、今回4回目の出場を果たした。
そんな彼女は国内でも英雄扱いで、ロンドン金の後、彼女をデザインした切手も発売された。プライベート面では陸上400㍍の選手であるデニスさんと結婚し、一男一女の2人の子供がいる。
同国メディアによると、来日前の7月上旬には、同国の10代の若手アスリートとも交流。「私は誰もが困難に耐える力があると思っている。(若者のみんなには)新しいことに恐れないで挑戦してほしい」と語っていた。
ルイパコワ選手は式典後、自国メディアのTVインタビューに出演。新型コロナウイルス禍で大会が無観客になったことに複雑な感情を示しながらも、「開会式は祝祭の雰囲気に包まれました。大会に選手として戦う意識は持っているのですが、素晴らしい気持ちが芽生えました」と語った。
さらに衣装について話題が及ぶと、「今日の開会式では私たちの国の衣装に注目があたってうれしい。多くの国々の選手たちは私と一緒に写真を撮りたがっていました」とコメント。それでも競技については「予測はできないけれども、闘う準備はできている」とアスリートとしての表情をのぞかせた。
注目のルイパコワさんは7月30日夜、国立競技場での競技に出場する。