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アジア系アメリカ人が感じる「超えられない、見えない壁」の存在

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A man holds a portrait of late Vichar Ratanapakdee, left, a 84-year-old immigrant from Thailand, who was violently shoved to the ground in a deadly attack in San Francisco, during a community rally to raise awareness of anti-Asian violence and racist attitudes, in response to the string of violent racist attacks against Asians during the pandemic, held at Los Angeles Historic Park near the Chinatown district in Los Angeles, Saturday, Feb. 20, 2021. (AP Photo/Damian Dovarganes)
アジア人への人種差別的な暴力が相次いだことを受けて米ロサンゼルスで開かれた地域集会=AP

“Attacks on Asian-Americans in New York Stoke Fear, Anxiety and Anger"
「ニューヨークでのアジア系アメリカ人への攻撃は、恐怖と不安、そして怒りをかき立てる」

2月26日付 ニューヨーク・タイムズ紙

2月、SNSでショッキングな動画が拡散された。高齢の女性が歩道でshoved to the ground(地面に押し倒された)光景である。額に深い傷を負った女性は病院に運ばれ手術を受けた。同じ日にニューヨークでは4件のアジア系アメリカ人女性への攻撃があった。翌週にはアジア系の男性が刺される事件が発生した。パンデミックを機に始まったアジア系の人々を対象にした差別と暴力が再びニューヨークでsurging(急増する)のではないかという不安がstoke(かき立て)られている。

この問題は全米で起きている。この記事が出てから2週間半後にはアトランタで銃乱射事件があり、アジア系女性6人が殺された。

これらの事件にはトランプ前大統領が影響を与えていると、一部の活動家や議員らが述べている。彼はパンデミック初期に、コロナウイルスをChinese virusやKung flu(中国のカンフーをもじった言い方)と表現して差別をfueled(あおった)。

背景には、以前から存在するアジア系アメリカ人に対する偏見がある。この記事に登場するアジア系弁護士は次のように指摘している。「アジア系アメリカ人は永遠の外国人とみなされており、“本当のアメリカ人"になるための見えない壁を突破できずにいる」。以前からの偏見にコロナ拡大による中国への敵対心が合わさり、非常に緊迫した状況になっている。

アジア系アメリカ人は口頭でのハラスメントだけでなくつばを吐かれたり、殴られたりする被害も受けている。そして女性はより攻撃される比率が高い。攻撃は無作為に起こるので、いつ自分が被害者になるか分からないという不安やストレスに悩まされ、家から出られない人もいる。

警察や検察はこの問題に十分に対応していないと感じているアジア系アメリカ人は少なくない。ニューヨーク市警は去年、アジア人に対するヘイトクライムのタスクフォースを設立したが、それだけでは不十分かもしれない。また、overpolicing(過剰な取り締まり)はアジア系アメリカ人への差別の根本原因に適切に対処していないとして、タスクフォース自体を批判する声もある。良い対策が見つかることを祈るばかりである。