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パンデミックで仕事から離れた250万の女性たち これは非常事態だ

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ホワイトハウスで2月18日、カマラ・ハリス米副大統領が女性への支援策などを盛り込んだ「アメリカン・レスキュー・プラン」についてバーチャル対話集会を開いた=ロイター

"The exodus of women from the workforce is a national emergency"
「労働の場からの女性の大量流出は、国にとって非常事態である」

2月13日付 ワシントン・ポスト紙

パンデミックの間、アメリカで250万人もの女性が労働から離れた――これは40個のフットボールスタジアムを満席にするほどの人数である。この記事を書いたカマラ・ハリス米副大統領が主張するのは、そのmass exodus(大量の流出)は国にとって非常事態である、ということだ。パンデミック中に職を失ったり、零細企業が廃業したり、保育施設が不足したりしていることは、女性の働き手にとってperfect storm(複数の悪い事が同時に起こる最悪の状況)になったそうだ。特に低賃金で働いている女性にとって打撃が大きかった。

記事では、遠隔授業を受ける子どもたちが家にいながら仕事をする女性がどれほど大きな負担をshouldering(背負っているのか)、事例を紹介しながら説明している。なお、ハリスの母も乳がんの研究者として働く女性だった。その経験から、ハリスは働く母親たちにとって信頼できる保育の受け皿がどれほど重要なのかを実感している。

ハリスによると、affordable(手の届く値段で)かつ accessible(すぐに利用できる)保育施設がないと、働く母親たちは不公平な選択を迫られる。そのため、コロナの間もコロナの後でも、働く母親たちが必要とするサポートを提供することは大切だ。

さらにハリスは、女性が仕事に完全に参加できない限り、アメリカの経済は完全には回復しないだろうと説く。女性が活躍すれば、家族、コミュニティー、そして社会全体が利益を受けるからだ。アメリカだけではなく、世界中でもそうだと指摘する。日本の「ウーマノミクス」を思い出させる。

この記事の目的の一つは、当時法案だったAmerican Rescue Planを推進することだった。その案ではコロナの経済支援策として、アメリカ市民に現金を支給することや、子供を持つ世帯に追加支援をすることが提案された。学校やデイケアセンターが安全に再開できるためのサポートも提供する予定だ。金額的にはかなり大規模な案だったため財政赤字を心配して批判する声はあったが、ハリスは、ここで対策をgoing too big(大きすぎる規模で行うこと)が最大のリスクではなく、十分に行わないことが最大のリスクであると答えた。要するに、大胆に行うしかない、と言っている。

この記事が出た後、3月11日に同法案は成立した。働く女性と、全ての国民およびその家族に対して経済的な支援を提供する。経済回復の後押しになることを願うばかりだ。