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ヘッジファンドに貧乏くじを引かせたウォール街の「変人」たち

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FILE PHOTO: A street sign, Wall Street, is seen outside New York Stock Exchange (NYSE) in New York City, New York, U.S., January 3, 2019. REUTERS/Shannon Stapleton/File Photo
ニューヨーク証券取引所の外にある「ウォール街」の標識=ロイター

“The Misfits Shaking Wall Street"

「ウォール街を動揺させる新参者」

1月29日付 ニューヨーク・タイムズ紙

1980年代の日米貿易摩擦を覚えている方にとって、even playing field(公平な条件)はなじみのある表現だろう。アメリカの企業が「日本の市場で平等に競争したい」という気持ちを表した言葉である。株取引をしているアメリカの若者をテーマにした記事に、この表現が出るのは少し意外かもしれないが、彼らの考えをうまく伝えている。

彼らのような10代、20代はリーマン・ショックの影響を大きく受けた。若かった彼らは当時のことを詳細には覚えていないかもしれないが、親や先輩が仕事や家を失う姿や、回復に向けて努力しながら長年にわたりmake ends meet(家計をやりくりする)のに苦労する姿を見てきた。だからこそ、アメリカでの所得格差や富を手にする機会のdisparities(不均衡)に関して意識が非常に高く、自分たちはdeck is always stacked against (いつも不利な状態にある)と感じている。そして自ら株取引することで、株式市場全体が実はゲームであることを証明し、ひともうけしようと画策している。

この若い投資家たちの活動が今、注目されている。その理由は、彼らの取引がウォール街の既存の組織に影響を与えているからである。Redditというネット掲示板のグループやTikTokの動画から得た知識をいかして、meme stocks(インターネットの情報拡散で値がつり上げられた株)の勢いを作り出している。

1月にはSNSで連携を取り合い、テレビゲーム販売店GameStopの株価がskyrocket(急騰する)ように株を大量購入した。その結果、あるhedge fund(投機を専門にする投資家集団)がholding the bag(貧乏くじを引いて)倒産の危機に直面して、ウォール街をshake(動揺させ)た。

驚くほど簡単に売買ができるアプリの普及によって、株取引が多くの若者の間で、ある種のはやりになっている。経験が少なく、ビジネススクールで学ぶわけでもなく、中には18歳(合法的に株売買のアプリを使える年齢)になったばかりの若者もいる。株の知識を独学で身につけた若者はウォール街からすれば、まるでmisfits(変人)に見える。しかし、SNSを駆使して行動を連携させることで、ウォール街の新しい有力者になっている。