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暴力を振るう子と息子が友達に こんな時、親はどうする?アグネス・チャンの答えは

アグネスの子育てレシピ
山本倫子撮影

子育ての中には、親がコントロールできない事があります。
その一つは「友達選び」です。
子供は友達に大きな影響を受けます。
それだけに、親はお互いにプラスになる友達と遊んで欲しいと思うのです。
いい友達ができると、子供は健やかに成長します。
悪い友達ができると、子供はハードルの多い人生を歩む事になります。
友達からは、世の中に対する価値観、人付き合いの態度、モラル、生活習慣まで影響されます。
でも、どうすれば、いい友達選びができるのでしょうか?

これは本当に難しい課題です。

■「いい友達」って何だろう

私はまず息子たちに、いい友達の定義を話してみました。
「いい友達と一緒にいると、一番いい自分でいられます。友達も一番いい自分でいられるのよ」
「いい友達は一緒にいると正しい判断ができ、平等に遊べて、話ができて、助け合えて、信頼できる仲間です」
「悪い友達は一緒にいると、一番悪い自分が出てきてしまうのです。友達も悪いことをしやすくなってしまうのよ」
「悪い友達は一緒にいるといい判断ができなくて、喧嘩をしたり、誰かをいじめたりします。信頼できず、度々裏切られます」
「自分が信頼できる人間になって、愛される人間になって、いい友達になろうね」
「いい友達がいると、悲しみは半分、喜びは倍増、力を合わせると、自分の可能性を超えることができるよ」
そんないろいろなことを、小さい子供に言っても本当に理解できるのかどうかわからなかったです。
それでも、簡単な言葉で、繰り返し話しました。

今でも、時々話しています。
耳にタコができるほど、「友達選び」の重要性を語り、知ってもらいました。

友達を作るのにはチャンスと縁が重要です。
親がコントロールできるのは、子供に多くチャンスを作ってあげることです。
そして、その後はお互いの縁に任せるのがいいと思います。
強制的に、友達を押し付けるのは逆効果です。
縁があれば友達になるし、そうでなければ、別の縁を求めるしかないのです。

長男が幼稚園に通い始めた時、私は送った後に、よく子供たちが遊んでいる様子を見ていました。
長男がどんな子供たちと遊んでいるのかを知ろうと思ったのです。
家に帰ってきた長男に、「◯◯君を家に呼ぼうか?」「××君を呼ぼうか?」と聞きます。
長男が気にいっている子の名前をあげるのです。
そのようにして家に遊びに来てもらっても、友達になれなかった場合もあります。
一方で、家に一回来て、すぐ友達になってしまう子もいます。
根気良く、チャンスを作ってあげることが大切です。
家に呼ばなくても、一緒に公園に行ったり、遊びの場所に行ったりするのでもいいと思います。
「お友達は大勢いる必要はないよ。大好きな友達が一人でも居れば、幸せなのよ」と息子たちに言ってました。

3人の息子たちと一緒に(2005年ごろ)

私が友達を家に呼びたいのは、
遊び方で、友達の性格がよく分かるからです。
そして、自分の子供との力関係もよく理解できます。
力関係が平等でない場合は心配した方がいいと思います。
我が子が相手の子を支配するのも良くないし、支配されるのもよくないのです。

私たちの家族が学校の近くに引っ越した理由の一つは、息子たちの友達が遊びに来やすくするためでした。
いつも家には友達の分までおやつを用意していました。
「いつ来てもいいよ」と言っていたので、我が家は息子たちの友達が集まる場所になっていました。
私かパパか、大人が必ずいるので、子供たちだけで心配ということがなく、友達のお母さんたちも我が家に来ることを、許してくれていました。
そのお陰で、息子たちの交友関係がよく分かりました。
問題が起きた時も対応することができました。

■暴力を振るう友達、こう対応した

次男が小学校に入学した時に、一度、ヤンチャな子が次男の事を大好きになりました。
次男が登校すると、毎日「一緒に遊ぼう」と誘ってきます。
他の子供が次男と遊びたくても、その子はそれを許さないのです。
面白い子供なので、次男もその子と遊ぶのが好きになりました。
見ていると、その子は他の子供に暴力をふるったり、お母さんの顔を手のひらで叩いたりするのです。
「次男が真似するようになったら、どうしよう」と私はとても心配でした。

写真はイメージ

ある日、次男と話しました。
「〇〇君が××君をいじめたのを見たよね。あなたが止めなかったのはなぜなの?あなたも面白いと思ったの?いけない事と思った?」と聞きました。
そうしたら、「僕もいけない事だと思う。でも、止められないの。〇〇君、強いから」と言うのです。
「友達が悪いことをした時に、いい友達なら教えてあげるのよね。あなたは〇〇君に話したの?」とさらに聞いたら、
「言ったよ!でも僕の言う事は聞かないんだよ」と答えます。
「それなら、君は〇〇君にとって、いい友達なの、悪い友達?」
次男は考え込みました。「わからない」と言うのです。
「いい友達とは一緒にいると、あなたも、友達も一番いい自分でいられる。悪い友達は一緒にいると、悪い自分になって、悪いことをしやすくなる。君たちはどっち?」
次男は目を大きくして、分かったような表情で、「僕は〇〇君にとって、悪い友達だ!」と言ったのです。
私は頷きました。
「そうよ、〇〇君には、彼より強い、そして彼の悪い部分を直してあげられる友達が必要なの。あなたはそれが出来る?」と聞きました。
彼は首を横に振り、「僕は無理。僕はできない」と悩んでしまいました。
「大丈夫よ。きっと〇〇君にもぴったりの友達が出てくると思うよ。あなたも違う友達を作れば、もっといい自分でいられるよ。他に好きな子供いるの?」と話しました。
「いるよ!」と次男の顔が明るくなって、友達の名前を言いました。
「遊んでみれば」と勧めました。

次男はその後、他の子供とも遊ぶようになりました。
〇〇君は次男が他と子供と遊ぶので怒ります。
次男をたたいたりしました。
それでも、次男は他の子供と遊ぶようになりました。

〇〇君のお母さんはある日、「なぜ、あなたの子はうちの子と遊んでくれないの?」と憮然として言いました。
私は「それは子供たちに任せましょう」と答えましたが、「あなたが遊んではいけないと言ったでしょう?」と問い詰められました。
私は「遊んではいけないとは言ってません。〇〇君にとって、うちの子はいい友達になれないのです。〇〇君にいい影響を与えることができてない。きっと、〇〇君にはもっといい相手がいるはずです」と説明しました。
「でも、うちの子はあなたの息子が好きなんです」とお母さんは言います。
「うちの子は〇〇君の言いなりになってしまうのです。それでは一緒に成長できません。好きになってくれるのは嬉しいですが、子供たちのために、平等の関係ができる相手を探すべきです」と私は引きませんでした。
そのお母さんの不満は収まりませんでした。

そのうちに〇〇君は次男の事をあきらめて、新しい友達を作りました。暴力的な事も次第に減りました。良かったです。
次男がある日、私に「ママ、僕は××君のいい友達です」とニコニコしながら話にくれました。
「二人とも、一番いい自分でいると思います」
その言葉を聞いて、ほっとしました。

■親子で友達を紹介しあう

私は、息子たちの友達も自分の友達として仲良くしています。
「うちの子は中学校に入ったら、友達を紹介してくれないよ」とママ友はなげきます。
これができるのは、ある方法をを小さい頃から続けていたお陰です。
コミュニケーションはワンウェーではないのです。
息子たちに友達を紹介して欲しいなら、先に自分の友達を息子に紹介すべきなのです。
私は息子たちが小さい頃から、自分の友達を紹介しました。
一緒にご飯を食べたり、話したりしました。
病気になったら一緒に訪ねたり、問題ある時は一緒に悩んだりしました。
息子たちは私の友達とも仲良くなって、職場を訪ねたり、アドバイスを貰ったりして、私を通さず付き合っていました。
ママの友達は自分の友達、自分の友達もママの友達という関係に自然になりました。
子供たちに友達を紹介してもらいたいなら、自分の友達を子供たちに紹介するのが礼儀です。この平等な付き合い方が親子の交友関係の透明性を高めます。

写真はイメージ

しかし、息子たちが中学校を卒業して、アメリカの高校に留学する時に、とっても心配しました。
親の言うことより、Peer influence (仲間の影響、同調圧力)の方が強い年代です。
肝心の時に、側から離れるのはベストタイミングではないと思いました。
しかし、我が子を信じるしかないので、よく話しました。
絶対にやってはいけない事は三つ。
「No Booz(酒), No drugs(薬), No babies(赤ん坊)」
アメリカでは青少年の問題として、飲酒したうえでの運転や暴行、麻薬に手を染める、そして10代の妊娠が挙げられます。
多くの少年少女は友達と一緒にそういう行動に走るのです。
友達から誘惑が来ても、ママとの誓いを思い出して、とどまって欲しかったので、
「お酒を飲む事、麻薬に手を出す事、相手を妊娠させる事は絶対にやってはいけない」
と繰り返し話しました。
そのうえで「分かってるよ。安心して!」との息子たちの言葉を信じて、送り出しました。

アメリカに行って、息子たちの学校を訪ねる時には、友達を紹介してもらうようにしました。
全寮制なので、普段は食堂でのご飯です。
私は行くたびに、息子たちの友達を連れておいしいものを食べに行きます。
出来るだけ、どんな友達と付き合っているのかを知るようにしていました。
息子たちの同級生で、喫煙、麻薬、飲酒で退学させられた子供はいましたが、幸いなことに、息子たちは三人とも問題なく、悪い習慣を身に付けませんでした。

実は、日本はアメリカの若者にとって、とっても魅力のある国です。息子たちの友達はみんな日本に来たがります。
休みになると、息子たちの友達は安い航空券を買って、日本に来て、我が家に泊まります。
息子たちは、ママが友達大歓迎なのを知っているので、気楽に招待することができました。
これは私にとっても、最高にうれしい事です。
そのお陰で、息子たちの親友たちやガールフレンドは全てよく知ることができました。
今、息子たちの友達は社会人になっています。
私がアメリカに行くと、逆に、「お母さんを囲んで、食事しましょうよ」と誘ってくれます。
しかも、彼らが私をご馳走するのです。
若者にご馳走してもらうのは、本当に感激です。

近くにいる友達は遠くにいる親兄弟よりも大切とよく言われます。
親友がいると、人生は豊かになります。
最近はコロナウィルスの感染対策で、息子たちは友達と全く会っていないそうです。
「会えないけど、インターネットで繋がってるから、大丈夫」と言います。
本当の友達は何年会ってなくっても、いつでも頼りになれるはずです。
息子たちはそれぞれに、親友がいるようです。
それは本当に恵まれている事です。
「友達選び」。これは子育てにとって、ひとつの永遠の難題です。
いえ、人生の永遠のテーマです。