文在寅大統領の任期終了が近づき、外交の最優先順位のうちの一つとして日韓関係改善を挙げるなか、文大統領が3・1節(1919年3月1日に起きた3・1独立運動を記念する日)のあいさつで、日本に対してどのようなメッセージを投げかけるのか、関心が高まっている。政府内外からは、文大統領の今回のあいさつが任期終盤での日韓関係の方向を決める分岐点になるとみられている。
複数の青瓦台関係者は15日、「文大統領の3・1節慶祝の辞の草案を作成している。日韓関係が重要なので、早く関係を回復すべきだとみている」と話した。政府は今年7月、東京オリンピックが開かれた場合、2018年の平昌オリンピックの時のように再び南北の対話や米朝の協議につながる機会を作る構想を持っている。これについて日本の協力を引き出すためにも日韓関係をまず改善しなければならないということだ。青瓦台は3・1節記念のあいさつで日韓関係についてどのようなメッセージを込めるのか検討している。
青瓦台の内外では文大統領の昨年の3・1節記念のあいさつよりも具体的なメッセージが伝えられるだろうとみられている。文大統領は昨年「私たちは過去に留まらない。共に危機を乗り越えて未来志向的な協力関係のために共に努力しよう」と語りかけた。関係改善の意思を伝えたが、具体的な提案はなかった。文大統領は先月、新年の記者会見では「過去のことは過去のことで、日韓が未来志向的に発展しなければならないことは、それはそれで進めなければいけない。歴史問題も事案別に分離し、互いに解決法を探る必要がある」と語った。歴史問題と日韓の懸案を分離するアプローチを明かしたのだ。
今回の3・1節記念のあいさつで強制徴用の被害者と慰安婦被害者の賠償問題をどう解決するのかの方向性を示す文大統領の構想が語られるだろうという予測もある。
米国のジョー・バイデン内閣が日韓関係改善を求めている点も青瓦台は考慮している。15日、米国の国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、キャサリン・スティーブンス元駐韓米国大使は「私が知るところでは、バイデン大統領は、菅義偉首相、文大統領とのそれぞれの電話で韓国と日本の現状について憂慮を述べた」と伝えた。
日本政府も文大統領の3・1節のあいさつに注目している。しかしながら、日本政府は日本企業の賠償を命じた強制徴用被害者訴訟判決と、日本政府の賠償責任を認める慰安婦被害者訴訟判決をいずれも受け入れず、「韓国が解決策を持ってくるように」という強硬な態度を続けている。
青瓦台の徐薫(ソ・フン)国家安保室長が先月日本を訪問して解決法について協議しようとしたが、日本政府の賠償責任を認める慰安婦被害者訴訟判決が出たため訪日を延期したとされる。
このため、日韓関係の専門家たちは、強制徴用や慰安婦被害者をめぐる日韓両国の見解に違いがある状態でも、韓国政府ができることからまず行動に移すということを明らかにし、日本を説得しなければならないという。国民大学の李元徳(イ・ウォンドク)教授は「文大統領が3・1節の記念のあいさつで日本の植民支配について謝罪と反省を求めながら(強制徴用、慰安婦被害者)賠償問題には積極的に政府として解決策を模索するというメッセージを伝えることが関係改善の糸口になりうる」と話した。
(2021年2月16日付東亜日報 チェ・ジソン、ファン・ヒョンジュン記者)
(翻訳・成川彩)