「2020年にインターネットは最盛期に達した。成功したものと大失敗したものは何か」
"In 2020, we reached peak Internet. Here’s what worked — and what flopped."
2020年12月28日付 ワシントン・ポスト紙
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)前、日常生活のあらゆる場面をアプリで管理することはシリコンバレーのベンチャー企業のpipe dreams(はかない希望)に過ぎなかった。サンフランシスコのような技術好きが集まる限られた所以外では、そうしたビジネスはあまり関心を集めなかった。
しかし、ロックダウンが始まると、それがinflection point(変曲点)になった。アプリ中心の生活のコンセプトが急速かつ大規模に広まり、そのput to the test(真価が問われた)。多くの人がインターネットを通じて活動し、インターネットのpeak(最盛期)に達したと言える。2020年も締めくくりとなり、その中で何がうまく機能したか、何がflopped(大失敗した)のか、そして何が時代の新しい基準なのかについてan accounting of(詳細な評価)ができる時期になった、というのがこの記事の趣旨だ。
まずは在宅勤務について。約6300万人のアメリカ人にとって、パンデミックの中でonce-unthinkable(かつては考えられなかった)ことが可能になった。それは、普段着のまま自宅で仕事をすることである。それは非常にありがたいことである一方、良くない面もあった。一日の平均勤務時間が長くなり、会議の数が増えた。それにもかかわらず、世論調査によると、54%の人はパンデミックが終わった後でもリモート勤務の継続を希望しているそうだ。
また、大半の保護者がattest(証言する)ように、子どもたちのリモート授業が必要になった時、まったくwent off the rails(予定していた展開から外れた)。一日中液晶画面の前に座っているのは子どもたちにとって難しい上、休憩時間に友達と会うといった学校の良い面が失われてしまった。パンデミック中のリモート授業では、子どもたちの学びが数カ月遅れた上、白人ではない生徒ではより大きな遅れが見られた。
さらに、医者は何十年にもわたって通院の代わりに遠隔医療を実施することについて議論してきたが、コロナ禍によって遠隔医療の利用者が増加し、the genie is out of the bottle(元に戻せない)状況になった。医者にとっても患者にとっても便利である上、地方に医療を届けるには特に効果的である。パンデミック中に、高齢者向けの医療保険制度は臨時的に遠隔治療も対象とするようにしたが、それが今後も継続されるかがポイントになる。
問題があっても、上記のサービスを利用できた市民はある意味、運が良かったと言える。なぜなら、新型コロナウイルスはアメリカの技術に関する大きな失敗をlaid bare(露呈した)からである。何千万人ものアメリカ人はブロードバンドの通信環境を利用する余裕がなかったり、flaky(頼りにならない)Wi-Fiに悩まされたりして、仕事や学校に参加できなかった。インターネット中心の生活になれば、インターネットを容易に利用できない人がやはり不利な立場に立たされる。