マスクで気になる口臭、歯科医が教える対処法

ここ数カ月、私たちは注意深くマスクを着用してきたおかげで、自分の口臭に慣れた。しかしながら、それは必ずしも良い結果をもたらしたわけではない。米アリゾナ州フェニックスに拠点を置く歯科医で、オーラルケアのブランドKlenの創業者でもあるブライアン・ハリスは、パンデミック(感染症の世界的大流行)が始まって以来、患者から一番ふつうに尋ねられる質問の一つが「吐く息の臭いを改善するために何ができるか」だと言う。
ミントタブレットかチューインガムをかむというのがよくある答えだが、どちらも臭いを一時的に隠すだけのことだ。ハリスによると、現実的な解決策の一つは、吐く息をとりわけ臭くさせる特定の細菌が増殖しないよう対処することである。
そうした細菌を除去するには、何らかの巧みな調整を加えた基本的なデンタルケア製品とともに、あなたがまだ知らないかもしれないいくつかのツールにも目を向けてほしい。ふつうの歯ブラシよりもプラーク(歯垢)がよく取りのぞける電動歯ブラシをお求めになってはどうか。たとえば、1分間に数千回の音波振動で歯を磨くBurst Sonic Toothbrush(バースト・ソニック・トゥースブラッシュ)で、値段は70ドルだ。
練り歯磨きについては、マサチューセッツ州チェストナットヒルを拠点にする補綴歯科医(訳注=欠けた歯を人工歯で補修する専門医)のアラン・フリードマンは、Crest's Pro-Health(クレストのプロヘルス)の製品をひいきにしている。3ドルからある。一連の製品はそれぞれ、歯の過敏症から歯茎の健康、ホワイトニングまで、さまざまな心配ごとが対象だ。
狭い歯間にたまったプラークを取り除くことは、吐く息をさわやかにするためだけでなく、歯周病や虫歯の予防にも大切である。
人体の包括的な健康に関連する口腔(こうくう)保健が専門のホリスティック歯科医のクリストル・クーと姉妹のキャサリンは2015年、Cocofloss(ココフロス)という新製品を発表した。価格は9ドル。クーの説明によると、このフロス(訳注=歯間のプラークを除去する細い糸)は「柔らかく、数百本の高性能の単繊維をヘチマのように織り込んだもの」で、「頑固なプラークを除去するために拡張」する小さなマイクロファイバーの糸だ。
それは夏のスイカやカラカラオレンジ、ダークチョコレートのような香りがする。クーは、このフロスを使ってのケアが「日々の雑事というより、自己療法のように思える」ことを願っている。
フリードマンは、音波歯ブラシと組み合わせてWaterpik Flosser(ウォーターピック・フロッサー=50ドル)を使うことと、歯科医院での歯のクリーニングと同じように良質のフロスの使用をいつもの決まりごとにすることを推奨している。
しかし、細菌が最も集積しているのは舌の奥であり、そこは一番届きにくい場所なのだ。歯ブラシでゴシゴシ磨いてみることができるが、ハリスは「タン・クレンザー(訳注=舌の洗浄剤)とアルコールを含まないマウスリンス(洗口液)を使えば最良の結果が得られる」とアドバイスしている。 UMAブランドのPure Palate Tongue Scraper(ピュア・パレット・タン・スクレーパー=10ドル)はステンレス鋼のものとほぼ同じ値段だが、細菌の増殖を抑える抗菌銅からつくられている。歯ブラシの毛では取りのぞけなかったり、ずらす程度だったりするプラークを、舌から優しくこすりとるためにこのスクレーパーを使う。
口腔洗浄には、口腔を乾かし口臭を悪化させがちなエチルアルコールを含まないリンスを探すこと。選択肢の一つは、Tom's of Maine Whole Care Mouthwash(トムズ・オブ・メインのホールケア・マウスウォシュ)で、価格は7ドル。これには、唾液(だえき)の生成を増やし、一部の細菌が歯に形成されるのを減らす天然甘味料のキシリトールと鎮静効果があるアロエが含まれている。(抄訳)
(Caitie Kelly)©2020 The New York Times
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