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テレワークとオフィスワーク 最新調査でわかった、理想の働き方配分

ニューヨークタイムズ 世界の話題
FILE -- Employees at Box in Los Altos, Calif., April 16, 2015. The company designed it, complete with couches and a slide, to make people want to come to work. Now it will let them work from home part of the time permanently. (Matt Edge/The New York Times)
米カリフォルニア州のロスアルトスにあるBox社のオフィスと従業員=Matt Edge/©2020 The New York Times

米国のオフィスワーカーのほとんどは、新型コロナウイルスが制御された後でもフルタイムで職場に戻ることを急いではいない。だからと言って、ずっと在宅勤務を続けていたいというわけではない。今後のあり方は、新しい各種データが示すように、週の勤務配分がオフィスと自宅に分割されることになりそうだ。

最新の調査によると、従業員と雇用主の双方がこの勤務の分割を支持している。この調査は、週のうち自宅とオフィスで各2、3日という勤務日数が、両方の利点を享受しながらそれぞれの欠点を相殺するマジックナンバーであることを示唆している。

「フルタイムなのかゼロタイムかといった考え方をすべきではない」とニコラス・ブルームは指摘する。米スタンフォード大学の経済学の教授で、リモートワークと仕事の成果との因果関係を明らかにした研究がある。「私は、コロナ後はオフィス勤務が半分だと確信している」と言っている。

米調査会社モーニング・コンサルトによる新しい調べだと、リモートで仕事をしている人の47%は、職場に戻っても安全なら、週に1日から4日の在宅勤務を続けるのが理想的だと回答している。40%が毎日自宅で仕事をすると答え、毎日オフィスに行くという人は14%だった。

在宅勤務が可能な従業員のグループは高学歴で高収入の傾向があり、これまでのところパンデミックによる最も深刻な失職は免れている。経済の悪化が続けば、状況は変わり得る。アナリストたちは、(経済悪化が続くと)さまざまな形で自宅勤務に影響を及ぼす可能性があるとみているのだ。雇用主はパニックになって従来の勤務形態に戻すか、あるいは不動産コストを切り詰めるためにリモートワークを奨励するかもしれない。

アトランタ連邦準備銀行とスタンフォード大学およびシカゴ大学による「ビジネスにおける不確実性の調査」では、雇用主たちはパンデミック後、フルタイム従業員の27%が在宅勤務を続け、その大半は週に数日在宅勤務をするとみている。企業に関する他の調査によると、少なくとも従業員の40%はリモートワークを維持すると予想している。

Googleの元人事担当責任者が運営するテクノロジー企業Humuの調査でわかったのは、さまざまな組織を見渡すと、働き手が週に1日から2日在宅勤務をしている時が仕事は最も効果的だということ。

「オフィスでの時間は協働作業や革新的な仕事、ミーティングのためであり、自宅での時間は集中的な仕事だ」とステファニー・ティグナーは言う。仕事の時間を改善するツールを作る会社Humuのデータおよび分析担当ディレクターである。

Best Buy(訳注=米ミネソタ州に本社がある世界最大級の家電量販店)やYahooで過去に行われたような米国でのリモートワークの実験のいくつかは、終了した。マネジャーたちが、リモートワークは十分な説明責任が果たされず、対面での協働作業の機会を失うと判断したからだ。

しかしながら、リモートワークについての研究では、従業員がどこで仕事をするかが特定の影響をもたらすことを証明したり、競合他社やパートナー、顧客が在宅で仕事をしている場合には違った影響がでたりするかどうかを知るのは困難だった。それに、ビデオ通話や仮想コラボレーション(協働作業)の技術がよりスムーズになったのはほんのここ数年のことである。

現在、パンデミックによって米国の企業はリモートワークの大掛かりな実験を強いられている。これまでのところ、学校の閉鎖を含めパンデミックによる多大なストレスがあるものの、実験の結果はおおむね肯定的だ。

モーニング・コンサルトが6月16日から20日まで行った調査――遠隔で仕事ができるという米国人1066人の代表サンプルを使用――では、その3分の2近くが自宅で楽しく仕事をしたと答え、20%はノーだった(残りは「分からない」か、「どちらとも言えない」だった)。全体の4分の3が、各社が行ったオフィスから自宅への切り替え方に満足しており、9%は満足していないと回答した。また、59%はリモートワークを奨励する仕事に応募する可能性がより高い。

オフィスに戻っても安全だという状況になったとしても、1週間のうち何日かは在宅勤務を続けたいという人は全体の87%を占めたが、その人たちが最も好ましいとするリモートワークの日数は、すべての年齢層で週に1日から4日だった。18歳から44歳までの人たちは、大学卒で高収入の人と同様、この日数を望む傾向がわずかに強い。女性の場合は、男性より、在宅勤務を毎日したいという人がやや多い。

ここ数カ月間は、リモートワークの得失に関する仮定のいくつかは、いつも当てはまるとは限らないことを示唆している。

その一つの例は、労働者は在宅勤務だと集中できて生産的だが、オフィスの方がもっと創造的であるという信念だ。人は、ホワイトボードかカフェテリアで場当たり的な会話を始めると、アイデアがわき、思考が進展する。

生産性に関する部分は、スタンフォード大学の経済学者ブルームによる実験で実証された。中国の旅行会社のコールセンター従業員について、在宅勤務か否かを無作為で割り当てて調べた実験によると、リモートワークをした人は業績が13%伸び、仕事の満足度が向上した。

モーニング・コンサルトの調査では、回答者の49%は、パンデミックに関連して気が散ることがあるとしても、在宅勤務の方がより生産的だったとしているのに対し、32%はそうではなかった(19%は「わからない」)と答えた。

だが、オフィスでの仕事の方がより創造的かどうか、測定することは難しい。特許データの研究は、発明者が互いに近くにいることが有利に作用することを示している。だが、専門家の一部は、リモートワークだと一息ついたり運動をしたり、沈思黙考できるから、アイデアをひねり出すのに向いていると主張している。

モーニング・コンサルトの新しい調査の回答者の44%は、パンデミック中にリモートワークをしている時の仕事の質は向上したと言っている。これに対し、27%がノーで、29%はわからない、だった。

現在の状況は大きく異なっており、大半のオフィスワーカーが同時にリモートで仕事をしていることや、ビジネスチャットツールのSlackやテレビ会議システムのZoomといった最新ツールを使っていることで、リモートワークの欠点のいくつかは改善されている。

ビジネス用のクラウドコラボレーションソフトウェアを制作している米企業Boxの最高経営責任者アーロン・レビィは、リモートワークによって同社の生産性とイノベーションの両方が向上したと言っている。会議室にいたり、たまたま出会ったりする小グループがアイデアをひねり出す代わりに、同社ではSlackを通じて、より大規模で多様性に富むグループが会話をしている。

彼は同社の新しいプロジェクトの例を挙げた。

「これまでなら5人から10人だったはずのプロジェクトを300人規模のアイデア捻出マシンにして採り入れた。このプロジェクトに参加することのなかったであろう人たちや研修生でさえ加わっている」と彼は言う。「それは会議室での20回分の会合に相当するかもしれないことだが、実際のところ、いくつかの優れたアイデアがSlackを通じてすべてを補える可能性がある」

Box社は、パンデミック後の勤務にリモートと対面のハイブリッド方式を取り入れると発表した。(抄訳)

(Claire Cain Miller)©2020 The New York Times

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