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「企業幹部の秘書」という仕事が消えつつある

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The Vanishing Executive Assistant

1月18日付 ウォールストリート・ジャーナル紙

私は学生時代、毎年夏休みには大手企業で働いた。仕事内容は事務職で、その会社の各幹部についていたExecutive Assistant(エグゼクティブ秘書)の手伝いや、彼女らが休暇を取る際の穴埋めをした。メモや手紙の用意、書類整理のほか、伝言や郵便を処理したりする仕事は、実は簡単ではないことを学んだ。その時の経験はビジネスパーソンになったいまでも、非常に役立っていると感じる。

エグゼクティブの秘書は当時、どんな職場にもいて、ある程度の地位にまで上った人には必ず付けられるエグゼクティブのtrappings(印)の一つだった。そのポジションの女性(ほとんどいつも女性だった)はエグゼクティブの職務遂行に不可欠とされ、言わば潤滑油のような存在だった。

しかし現在、この職務はvanishing(消えつつある)。記事によると、過去5年間だけ見ても、その数は23%減少しており、さらに2028年までに20%減ると予測されている。

これには様々な理由がある。一つはテクノロジーの進化だ。いまやエグゼクティブでも、メールは自分のパソコンで打つ人がほとんどだ。かつて秘書がやっていた口述筆記は、すべてアプリがやってくれる。紙をファイルすることも少なくなり、もうだれもタイプライターは使わない。landline(固定電話)にかかってくる電話は減り、エグゼクティブは自らの携帯やスカイプで連絡を取る。flatter hierarchies(伝統的な組織に比べ、職階級やマネジャーの少ない組織構成)を導入している企業が最近は増えてきているので、それに伴ってエグゼクティブの人数自体が少なくなっているという。

エグゼクティブ秘書という職務はpink collar jobs(男性が多くを占めるブルーカラーと対称に、大学を卒業していない女性が多く就く仕事)のpinnacle(頂点)だった。ただ、この職種だけではなく、事務職全般が激減しているのが現状だ。実に2000年から40%近くがすでになくなっていると記事は指摘している。それは同時期にアメリカで製造業に従事する雇用者数が減少したのとほぼ同じ割合だという。一度に何千人もが失業する工場閉鎖に比べ、事務職がなくなる速度はin dribs and drabs(少しずつ)なので、あまり注目を集めなかったというのだ。

たとえ現在、エグゼクティブ秘書の仕事をしている人でも過去に比べて仕事量が増え、求められるスキルも高くなっている。複数のエグゼクティブを同時に担当し、なかにはリモートで働く人もいる。そのため、かつてこの職務の特徴だったエグゼクティブ個人と強い人間関係を築く機会は少なくなっていると記事は指摘する。給料が半分になった人もいる。その結果、この仕事から離れる人が多くなるのだ。そしてあるベテランはしみじみと「私たちエグゼクティブ秘書はdying breed(廃れる運命にあるもの)である」と述べるのだった。