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「孤立」は社会が対応すべき問題だ みずほ総研・藤森克彦氏

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日本福祉大学教授で、みずほ情報総研主席研究員の藤森克彦氏。「単身世帯が増えていく大都市圏は人材の宝庫でもある」と話す=丹内敦子撮影

日本では、どんな人が「社会的孤立」に陥りやすいのか――。日本福祉大学教授で、みずほ情報総研主席研究員の藤森克彦氏は、国を挙げて孤独問題に取り組む英国の社会保障政策はヒントになると説きます。単身者が増えるといわれる将来、孤独に立ち向かう術を聞きました。(聞き手・丹内敦子)

【前の記事】世界初「孤独担当大臣」置いた英国 孤立を社会問題と見る国の取り組み

「孤独」と「孤立」は違う。孤独は「寂しい」といった感情で、個人の内面の問題。ここに政策的な対応をとるのは難しい。他方、孤立は他者との関係性が乏しいことで、「社会的孤立」とも呼ばれている。人は一人では生きられないので、社会的な対応が求められる。

先行研究では、孤立を測る指標として①会話頻度、②頼れる人の有無、③自分が手助けする相手の有無、④社会活動への参加状況、があげられている。2017年の国立社会保障・人口問題研究所の調査では、会話頻度が「2週間に1回以下」の割合が最も高いのは65歳以上の単身男性で15・0%。続く65歳未満の単身男性は8・4%。現役世代でも単身男性は孤立しやすい傾向があり、無職者が多いのではないかと推察される。また、低所得者ほど孤立に陥る傾向もあり、就職氷河期世代が40代後半になる今、対策が急務だ。

同じ単身高齢者でも、男性は女性よりも孤立に陥りやすい。男性は、現役期に会社人間として過ごし、地域との関係を築いてこなかったことが一因であろう。今後は、現役期から仕事と生活の両立をして、地域と関係をもつことも重要になる。

2040年の日本で、注目すべきは未婚化の進展だ。15年の65歳以上男性に占める未婚者の割合は5.9%だったが、40年には14・9%になると推計されている。未婚者は、配偶者だけでなく、子どももいないことが考えられるので、「孤立」に陥るリスクが高まる。制度的にもインフォーマルにも対応が必要だ。

15年に「生活困窮者自立支援制度」が施行され、自治体などが社会的孤立を含め幅広い相談に応じるようになった。今後、相談窓口を強化するとともに、地域づくりも求められる。単身世帯が増えていく大都市圏は人材の宝庫でもある。地域づくりのノウハウをもつNPOなどの協力を得ながら、住民が地域で楽しんで交流できる場が求められる。さらに、働き続けられる社会の構築も必要だ。働くことは、収入を得るだけでなく、職場で人間関係ができて孤立防止にもなる。

孤立対策には様々な機関の連携が欠かせない。関連省庁や民間団体が一体となって取り組む英国は参考になるだろう。

ふじもり・かつひこ 日本福祉大学教授、みずほ情報総研主席研究員。1965年生まれ。専門分野は社会保障政策・労働政策。著書に『単身急増社会の希望』など。