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変わる日本の働き方、金融業界の常識を打ち破るテレワークへの挑戦

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先進的なビデオ会議システムにより、これからの「働き方」が変わる

金融業界に残る「押印文化」

金融業界にとってテレワークが難しい理由のひとつに「押印文化」がある。あらゆる手続きにおいて押印を必要とするのは、日本だけが採用している承認プロセスだ。

2019年5月、日本では行政手続きをオンライン化する「デジタル手続法」が成立したが、先立って“デジタルと判子の両立”が取り沙汰されたのも記憶に新しい。この議論においてデジタル化の障壁ともいわれた押印が、金融機関において重要な位置を占めているのがいまの実情だ。大手銀行をはじめ多くの金融機関で、行内での稟議書のみならず会議の議事録ひとつでも紙で印刷し、押印が必要になっている。

あおぞら銀行本社受付。奥へと続く廊下の壁には、伝統工芸が飾られている

金融業界のみならず多くの企業から先進的な働き方改革を推進していると注目を集めているのがあおぞら銀行だ。これまでの金融業界では考えられなかった全行員のテレワークを可能にした。ここにも押印文化を解決したことに大きな理由がある。

2017年5月の本社移転を機に本格的な「働き方改革」がはじまったあおぞら銀行だが、2015年から先行してペーパーレス化を実施。そして本社移転とともに旧本社に保存していた文書の60%削減を達成した。このペーパーレス化と電子文書管理システムや電子決裁により、行内における押印文化からの脱却が進んでいった。

このようにペーパーレス化が浸透することで、予想以上にスムーズに在宅で業務が行えるとの感想が広がり、テレワーク利用者が増加していく。ある行員は、青森に住む母親の介護のために青森で在宅勤務をおこない、月5日のみ東京本社に出社といういままでの金融業界では想像できなかったフレキシブルな働き方を実践しているという。

「押印文化が強いゆえに、“居てもらわないと仕事ができない”、“承認が進まない”という事態になるんです。そうなると、テレワークどころか、行内オフィスでのフリーアドレスですら導入は困難です」
と語るのはインフラストラクチャーマネジメント部の木村俊介さん。あおぞら銀行の働き方改革を進めるシステム設計を担った。IT部門に求められたのは、ただ端末をモバイル化するという話ではない。押印文化から脱却するためのコミュニケーションのITによる再設計だった。

あおぞら銀行インフラストラクチャーマネジメント部の木村俊介さん

従業員と会社が“ウィンウィン”になるように

「銀行の古い体質なのかもしれませんが、もともと“長く働く人は頑張っている”、という文化がありました。しかし数年前から『付加価値の高い業務に力を振り分けていかなければ生き残れない』という気運が高まってきたのです」と人事部長の柏木幸法さんは言う。

議論を重ねるなかで2015年、最初にトライアルとして取り組んだのが、行員の「20時退行」だった。2017年には、全行員20時最終退行を実現した。そしてフレックスタイム制度もいまでは約6割の行員が利用している。本社移転とともに、フリーアドレス化、モバイル端末やスマートフォンの配布により、柔軟な働き方へとより進んでいった。

同じタイミングでマルチ会議システムも導入された。国外とのやり取りも多いあおぞら銀行では、ミーティングを遠隔で実施するメリットは大きい。海外拠点との会議も多いためグローバル規模での安定性を考慮し、システム面でシスコシステムズの協力を仰いだ。

ビデオ会議中の操作もタッチパネルで直感的に操作できるシステムになり、実際に使用する行員側の心理的なハードルもさがったことにより普及した。

あおぞら銀行人事部長の柏木幸法さん(左)

「求めたのは、“あおぞら”らしい働き方改革です。この改革は、銀行の真ん中にあるべき従業員と銀行とがウィンウィンの関係を構築しようという試みでした。銀行からは働きやすさを従業員に提供し、従業員は働き甲斐を感じて活躍する。銀行が持続的な成長を果たすためには、従業員がワーク・ライフ・バランスを実現して個人としても成長を感じられなければなりません」と、柏木さんは言う。

仕事を続けられるという喜び

リテール営業統括部で働いていた渡邊まどかさんは、こうしたあおぞら銀行の制度改革のなかで、積極的にテレワークを活用しているひとりだ。きっかけは、家族の入院だったという。

「2歳になった子どもが入院することになり、24時間の付き添いが必要になったんです。ただ、入院期間がいつまで続くか分からない。正直銀行を辞めるかどうしようかと真剣に悩みましたし、上司や同僚たちもどう対応していいかわからなかったと思うんです。ちょうどそのときに、在宅勤務制度が始まったのです」

当時、3人のチームで仕事をしていた渡邊さんが従事していたのは、主に実績データの集計業務だった。日常的なコミュニケーションはもちろん、作成したデータに対する上司の承認が必要になる。

あおぞら銀行人事部(テレワーク時はリテール営業統括部)の渡邊まどかさん

「ITインフラが整っているうえに使いやすいので、文書の決裁もデータの共有も、滞りなくできました。コミュニケーションでは相手の顔を見ずにスマートフォンで話す、という難しさも感じましたが、無事に2週間を遠隔作業で過ごせました。病院でも仕事ができるという驚きと安心感がありましたし、何より銀行を辞めることなく仕事を続けられた喜びが大きかったです」。

銀行だからどう、ということではない

「仕事を続けられる」という喜びは、「ここで働きたい」という希望に繋がる。それは数字にも顕著に出ていて、勤続年数が男女ともに14年以上と長い。そして行員2000人のなかで男女比がおよそ半々というところからも、働きやすい環境が整っているということがわかる。

いま、あおぞら銀行では、マルチ会議システムをはじめとするビデオ会議システムをさらに充実させ、より円滑なコミュニケーションを実現しようと動いている。インフラストラクチャーマネジメント部の木村さんは言う。
「渡邊の体験談にもありましたが、やはり電話だけでは伝わりづらい部分が出てきます。コミュニケーションの質をもっと高めていきたいので、ITでは、フェイス・トゥ・フェイスのやりとりに匹敵するやりとりを遠隔においても実現しようと推し進めています」

会議室のビデオ会議システムの前で

電話会議では難しかった資料の共有も、ビデオ会議であれば容易になる。「いま使っているシスコさんのシステムは映像も音もクリアなので、映像の向こう側に相手がいるというよりは、会議室がつながっているようにさえ思えます。いままでは出張をして相手と面と向かって話したほうが伝わりやすいという行員も多くいましたが、ビデオ会議システムを取り入れてから出張の数が大幅に減りました」。

ここ2年でも出張件数が500件程度減ったという。ITインフラは、行員の「働きやすさ」とともに、コスト面でも大きく貢献している。勘定系システムの更改の時には、シスコシステムズと連携してITインフラの大幅な仮想化を進め、数十億円にもおよぶ大幅な費用の削減につながった。

1フロアが丸々フリーアドレス席になっている

木村さんは言う。「もちろん銀行だからこそセキュリティをまず意識しています。ただ、働き手の行員に求められるものを最適に提供していくことが働き方改革にとっても大事です。そのときに『金融業界だから、銀行だから働き方が変わらない』と業界の前例にとらわれる必要はないと思っています」

2020年の夏を前に、都心部の企業は集中する交通量のなかで効率の良い働き方と滞りなく業務を進行するかが課題だ。そのためにどのような「働き方改革」を実践するかが鍵となる。なかでも通勤時間の短縮につながるテレワークは確実に注目される取り組みだ。

「企業が働きやすい環境を提供し、社員が働き甲斐を感じて活躍する」、「業界の前例にとらわれる必要はない」。そんな考えのもとITインフラを整え全行員のテレワークを実現したあおぞら銀行の取り組みは、「働き方改革」を推進する多くの企業にとってヒントとなる。

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