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銃乱射に対処する訓練、子どもを守るためなのに怖がらせてしまう

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2019年8月、コロラド州ソーントンの学校で行われた銃乱射対応訓練で、インストラクターの話を聞く幼稚園児たち=ロイター

When Active-Shooter Drills Scare the Children They Hope to Protect

2019年9月4日付 ニューヨーク・タイムズ紙

 

アメリカの学校でmass shootings(大量射殺事件)が頻繁に発生している。「なんとかしなければ」との思いで、多くの学校がactive-shooter drills(銃乱射対応訓練)を導入している。それはある種の避難訓練であり、犯人が校内に入ってきて銃を乱射した場合、どう対応すべきかを警察官など専門家が指導する。

訓練のやり方は様々だが、記事によると、リアリティーを出すためにマスクをかぶった犯人役がmenacing(脅威を与える)shooters(射手)を演じたり、偽物の血や疑似発砲音などが使われたりするという。一例として挙げられていることに、バージニア州のある中学校で去年、予告なしの訓練を行ったことがある。複数の火災報知機が鳴り響き、教室のドアノブが何者かによってがちゃがちゃと動かされた。実際の銃撃だと感じ、泣き出す生徒もいれば、最後の言葉を親に残すためにメールを送った生徒もいた。しかしその後に訓練だったと分かると、保護者らはfurious(激怒した)という。

2012年に児童20人と教員6人が死亡したコネティカット州サンディフック小学校での銃乱射事件の後、教育省は事件が発生した際に勧める対応を、sheltering in place(閉じこもる)から、run, hide, fight(逃げる、隠れる、戦う)のような選択型アプローチに変えた。その後、職場で大人向けに行ってきた訓練の「学校版」がproliferated(急速に普及してきた)。こうした訓練は役には立つが、生徒を怯えさせてしまうこともある。学校は安全な場所ではないと思わせてしまう可能性も高いと専門家は指摘する。そのため、訓練が今のようなもので良いのかという疑問の声が上がっている。

記事によると、頻繁かつリアリティーのある銃乱射対応訓練は子どもの不安や鬱病の一因となると心理学者は指摘しているそうだ。子どもの脳は未成熟で、coping(対処)能力も発達段階にあるため、強烈な訓練に圧倒されてしまう可能性がある。そのため多くの専門家は訓練より、子どもたちには予防対策を教えた方が良いと勧めているという。

複数の調査によると、ほとんどの場合、クラスメートや周りの生徒が銃撃犯について事件前に心配していたそうだ。攻撃計画があることまで知っていたケースもたくさんあった。そうであるならば、troubled(問題を抱えている)クラスメートに気づいたり、その人のために手を差し伸べることを教えたりする方が、トラウマになるような訓練を実施するよりも良いのではないかと思う。