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トランプ氏が叫んだ『彼女を送り返せ!』の本当の意味

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トランプ大統領を非難する4議員。左からプレスリー、オマール、トレイブ、オカシオコルテスの4氏。ワシントンで=ロイター

“The Real Meaning of ‘Send Her Back!’”

7月18日付 ニューヨーク・タイムズ紙

 

トランプ大統領は7月、ノースカロライナ州でのrally(選挙集会)の前に、ツイッターで開催を告知した。選挙集会の度に、何かしら問題発言をするので、「また何か起きるかも」と思っていた。そんな私の悪い予想が今回、的中した。

幼少時にソマリアから難民として来たミネソタ州選出のオマール下院議員を、トランプが集会で中傷すると、支持者らは“Send her back!”(「彼女を送り返せ!」)と繰り返しroared(大声で叫んだ)のだ。ビデオを見ると、ナチス党大会の映画を思い出させるような一幕だったので、私はぞっとした。xenophobic chant(外国人を嫌う内容のシュプレヒコール)のなか、トランプはためらいながらも嬉しい瞬間に存分にbasking in(浸っている)ようだった。

しかしbacklash(反発)が大きくなると、トランプは自分の反応を取り繕った。「嬉しくなかった」とし、自分が速く話すことでシュプレヒコールを遮ろうとしたと言い張ったのだ。これはaudacious(大胆)なgaslighting(わざと誤った情報を示し、相手が自分の記憶や正気を疑うよう仕向ける行為)だと今回取り上げた社説は批判する。トランプは他の3議員も攻撃。3人ともwomen of color(白人ではない女性)だ。社説はトランプがthe presidency(大統領の任務)を、人種や民族間のanimus(敵意)をstoke(かき立てる)ためのmegaphone(拡声器)と見なしているようだと指摘する。divisions(分裂)を拡大させる政策を推進するだけでなく、自分の政策に反対する人を危険なextremists(過激主義者)扱いすると言う。

一連の出来事の後、トランプはracist(人種差別主義者)か、についての議論で、トランプ本人は「I don’t have a Racist bone in my body!(私の体に人種差別主義者の骨は一つもない。差別主義者ではない)」と主張。しかし社説は、トランプが人種差別主義者かどうかを議論するのはbeside the point(的外れ)だと言う。彼の目的が人種間の嫌悪をfoment(煽る)ことにあるのは明白だからだと指摘する。また、トランプによる損傷が消えるには何年もかかると見る。残念ながら私もこの意見には賛成せざるを得ない。