アグネス・チャンが提案する、未来が予測できない時代の子育てレシピ

わが家には外国からのお客様がよく泊まりに来てくれます。
昨年の夏休みにも、三男の友達が12人来ました。
国籍はアメリカ、インド、ベトナム、イギリス、ドイツ、中国、台湾と様々。
みんな三男のスタンフォード大学の同級生です。
彼らの話は面白い。
「私は海の生物を愛している、だから海を保護する仕事をしたい」と、ハワイの海で研究して帰ってきたばかりの友達は言います。
「環境を守るためには政府を変えないといけない。私は政治家になる」と胸を張る女子がいました。
「私は宇宙に行きたいので、宇宙飛行士になります」と自信満々で言う子も。
「自分の国に戻って、起業をしたいと思っている」と言う子もいました。
「哲学で世界を救うというのが僕の考えです」と変わった信念を持つ子も。
みんな休みの間は世界中でアルバイト先を探すためにアジアや、アフリカ、中東へ足を運び、学費を稼いでいるのです。
学業もしっかりこなし、頼もしい若者です。
彼らの話を聞いていると、爽やかなグローバルの風を浴びた感じがしました。
私の三男はアフリカでのインターンシップを終え、自分で稼いだアルバイト代で南米へ一人旅に行きました。
AI(人工知能)を研究していて、この秋には大学院に入る事が決まりました。
「どこで就職するつもり?」と聞くと、「ママ、どこでではなく、何をやりたいのかが重要なんだよ」と言います。
「地図の上で物事を考えるのではなく、心と意識の中で生きていく時代なんですよ」と言われました。
素晴らしいけど、私にはまだよく理解できない。でも自由な考え方だと、我が子でありながら感心しました。
現在、長男がCEOを務めるシリコンバレーのIT会社は、全社員が在宅勤務、リモートワークです。
彼はシリコンバレーに住んでいますが、社員はアメリカ全土のさまざまな場所に住んでいて、2ヶ月一回集まって会議をします。
普通はネットでコミュニケーションを取るのです。
「この仕組みになってから、優秀な人材が集まってきた。事務所を構える必要はないと確信したよ」と長男は言います。
「その分、みんなの給料をアップしたり、手当てを良くしたりするので、社員も頑張ってくれるんだ」と新しい形に全く抵抗がないのです。
「嫁さんと相談したけど、一年くらい、アムスタルダムに住もうかな。今はどこに住んでも、仕事ができるから」と言います。
素敵な働き方ですね。
羨ましいです。
次男は国際的な大手IT企業に勤めていて、3ヶ国語を使って、仕事をしています。
「ネットでは国境がないので、色んな文化を知っている人は特に求められているんだ」と言います。
彼らが小さい時、日本はまだ終身雇用で、ブランド大学の学歴にこだわる時代でした。
そんな中、インターナショナルスクールに子どもを入れるのは大きなリスクでした。
外国に留学させるのも不安がありました。
でも、今から考えれば、決断は間違っていませんでした。
グローバルの考え方を持っている彼らはたくましく、そしてどこでも生きていける若者になりました。
日本の中でも、身の回りを見たら、グローバル化が実感できます。
コンビニでは中東の方や中国の方が働いています。
街には世界中の観光客が溢れています。
英語が公用語の日本企業も増えています。
グローバル化は自分が国から離れなくても、目の前にやってきます。
日本は少子高齢化で確実に自分達だけでは生きていけません。
みんなと仲良く、楽しく生活していく方法を編み出す事が最善策です。
違いを認める、理解するだけでなく、違いを受け入れ、楽しむような考え方に切り替えないといけないのです。
新しいものに抵抗しないだけでなく、新しいものを歓迎する気持ちを抱くようにならないといけないのです。
「マインドセット」を変えないと、猛スピードで変わっていく社会にストレスを感じ、時代遅れになってしまいます。
楽しく生きるために、若者のように、考え方を自由にするのが肝心です。
行動のグローバル化から、今は心のグローバル化へ。
これは一人一人に課される「令和」時代の課題です。
今回の連載では、予測できない未来にふさわしい子育ての方法を提案していこうと思っています。それは、自分育ての楽しい方法でもあり、生涯好奇心を失わないで、みずみずしく生活していくための方法でもあります。
(構成:梅村隆之、写真:山本倫子)
■アグネス・チャンさんの新連載「アグネスの子育てレシピ」は月1回配信します。次回は8月20日の予定です。