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ファーウェイはなぜ社員に「使命必達」を求めるか

World Now
中国・深圳市にある華為技術(ファーウェイ)の本社=吉岡桂子撮影

――ファーウェイ社全体の人事戦略と人事評価制度を教えてください。

主に能力、業績、コアバリューの実践の3つの観点から人事評価を行います。業績管理のプロセスは「目標設定」、「実行と指導」、「最終評価」、「フィードバック」の4段階。プロセスを通して、マネジャーと社員が十分な双方向意思疎通のうえで、ある期間(通常半年)において社員が達成しなければならない最も重要な目標で合意します。

ファーウェイ日本法人の副社長で、人事本部長の徐章頴氏=同社提供

目標が確定されたら、社員がその目標に向かって自己管理しながら達成できるよう努力していきます。マネジャーはその目標達成の支援と指導を行う義務があります。ファーウェイの人事評価システムは「貢献全般に対する相対評価」を採っています。すなわち、職責に基づいて社員が設定した目標の達成状況、職責の履行状況、職責以上の貢献や努力があったかどうかを総合的に評価します。同様の職級と専門分野の社員に対し相対的な評価を行い、これを「責任結果主義」としています。

――ファーウェイはどのような能力を重視しているのでしょうか。

ファーウェイは、企業のビジョンとミッションの実現に貢献できる人材を大切にします。人材の選考と獲得においては、専門分野や職位に関係なく、職責を果たし、コスト以上の貢献ができる社員はすべて優れた人材と考え、こうした人材にチャンスを与え、活躍する舞台と成長する階段を用意します。ファーウェイは、自社が知的労働と起業家精神を基盤に価値を生み出していると考え、財務資本の増強よりも、人的資本への投資を優先しています

人材の獲得にあたり、グローバルな視野で多様な人材を受け入れています。グローバルな人材を採用することで個性豊かな社員が増え、チームがよりクリエーティブになり、多様性を受け入れる雰囲気が醸成されます。

またファーウェイは、中国の人材にとどまらず、業界を牽引し続けるには世界中の人材の力を結集しなければならないということも認識しています。そのため、専門性の高い人材が集まる世界各地に研究開発拠点を置き、「人材のいるところにファーウェイあり」という戦略を取っています。ここ数年モスクワ、パリ、ロントン、ニューヨーク、デュッセルドルフ、ミラノ、ベンガルール(バンガロール)、シアトル、東京などに数十のコンピテンシーセンターを構え、現地の研究者を活用してICT分野での最先端技術の研究と基礎研究に努めています。

――ファーウェイ社の報酬制度について。御社が重視する「奮闘者」とはどのようなものですか。

資本金2万元からスタートしたファーウェイは、頼りになるような資源はなに一つありませんでした。ファーウェイがここまで来られたのは、社員の一人ひとりが奮闘し続けてきた結果です。ファーウェイの「奮闘者」として備えなければならない最も重要な素質の一つは「使命必達」です。

任正非・華為技術(ファーウェイ)最高経営責任者=吉岡桂子撮影

創業期のファーウェイは技術も人材も、資金も乏しく、ただ懸命に働くしかありませんでした。ファーウェイが初めて成功したデジタル電話交換器「C&C08」の開発も困難を極めました。社員に給料を全額支払えないことさえありました。それでも社員たちは実験室で寝泊まりしながら全力で開発に取り組みました。

今日、ファーウェイは豊富な技術、資金、人材を備えるまでに成長し、社員の待遇や勤務環境は劇的に改善され、業界のトップレベルに達していますが、努力を怠らずに「奮闘し続ける」ことが必要だと考えています。

――平均年齢、転職率などを教えてください。

会社全体の平均年齢は37歳前後ですが、ファーウェイジャパンは平均40歳ぐらいです。情報通信やハイテク業界の人材の流動は比較的に早いとされている中、ファーウェイの転職率は業界平均を下回っています。

――人事評価へのAIの活用は進めているのでしょうか。

ファーウェイの人材評価システムにはAI技術は使用されていません。一人の人間を正確に評価することは、大変難しい作業であるからです。ファーウェイでは、主に直属の上司やマネジメントチームが人事部のサポートを受けながら業績評価を実施するシステムとなっています。必要に応じて同じ職場の社員にヒアリングしたりすることもありますが、AIツールは今のところまだ考えていません。