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「ジャパンスクール」委縮の韓国、外務省の力がない日本…外交行き詰まり

東亜日報より

「事前に日本から外交ルートで知らされなかった」

日本の経済産業省(経産省)が、韓国への半導体材料の輸出規制について電撃的に発表した1日、青瓦台(韓国大統領府)と政府は激高した。康京和(カン・ギョンファ)外相も3日、国会の外交統一委員会で「日本の輸出規制について事前の通告なしに発表され遺憾」と語った。わずか5日前の6月28日午前、大阪でG20の首脳会合の期間中、河野太郎外相と面談したところだった。日韓国交正常化以降史上初の日本の対韓輸出規制について、日本が元徴用工の賠償判決に対する突然で一方的な報復に出たという点を強調した。

一方、破綻しつつある日韓の外交チャンネルを垣間見たという評価もある。2017年12月、外交部主導のタスクフォース(TF)が慰安婦被害者についての日韓合意の検討結果を発表して以来、ぎすぎすした日韓関係は昨年10月、大法院(最高裁)が元徴用工への賠償を日本企業に命じる判決を宣告し、どん底まで落ちた。日韓関係の最低限のホットラインも稼働していないという、前例のない状況となっている。

外務省排除の報復措置を準備した日本の経産省

日本政府の今回の経済報復措置は早くから予想されていた。大法院判決の1ヶ月後の昨年11月、河野外相は「あらゆる選択肢を視野に入れ、毅然とした対応を講ずる」と公開の警告を発した。安倍晋三首相も「関係部署に具体的な措置の検討を指示した」と明かし、経済報復の可能性を見せた。今年3月12日には麻生太郎副総理兼金融担当相が「関税に限らず、送金の停止、ビザの発給停止など様々な報復措置がありうる」と具体的に言及した。

青瓦台は日本の経済報復の可能性について初期から準備してきたという。キム・サンジョ大統領政策室長は3日、「我が政府は日本が経済報復として制裁を加えうる品目に関する『候補目録』を事前に準備していた」と話した。

しかしながら、青瓦台と政府は日本がG20の首脳会合を終えるやいなや輸出規制をかけるとはまったく予想していなかった。経産省発表1日前の6月30日、板門店で米朝会談が開かれていた中で、日本のメディアが経済報復を予告してはじめて、切迫した状況であることを知った。外交部関係者たちが急いで日本の外務省に事実確認をしたが、「知らない」という反応だけだった。韓国に対する対抗措置を作る過程で、経産省は日韓関係の担当部署である外務省にも事前に知らせず、秘密裏に進めたことが分かった。

日本政府の事情に精通した外交の情報筋によると、「理由は二つ考えられる。今回の措置が安倍首相が直接指示したものか、韓国との外交チャンネルである外務省を意図的に排除したもの」と言う。特に経産省出身で首相側近の今井尚哉政務秘書官が安倍首相と経産省の橋渡しの役割を担い、経産省内部だけで資料を作成したとみられると、別の外交の情報筋は分析している。

今では想像もできない駐日大使と天皇の昼食

元徴用工問題が経済紛争に発展し、韓国の外交部と日本の外務省間の伝統的な外交チャンネルでは問題解決は期待できないという声が上がっている。青瓦台は「企業の被害は産業通商資源部で、外交的努力は外交部で対策を考える」として、関連部署にボールを投げたが、日本の経産省の単独プレーから分かるように、外交部-外務省のチャンネルだけで意思疎通をしても全体の絵が見えない問題になってしまった。

これには、政府内の日本通、いわゆる「ジャパンスクール」の基盤が脆弱になっていることが少なからず影響している。以前の政府では、力のある人物が日本大使として赴任したり、政府と政治家の中に知日派が常に一定程度存在した。孔魯明(コン・ノミョン)元外相をはじめ、チェ・サンヨン、チョ・セヒョン、リ・ジョンイル、クォン・チョルヒョン、シン・ガクス、ユ・フンスなど金泳三(キム・ヨンサム)政府から朴槿恵(パク・クネ)政府までの駐日大使は日本の政界でも簡単に「パッシング」できない重要人物が務めた。このため、日韓で膠着状態に陥っても駐日大使がいつでも日本の外務省はもちろん首相にも接触することができた。

クォン・チョルヒョン元駐日大使は2011年、韓国に帰任する前、天皇(現・上皇)と異例的に昼食を共にした。駐日韓国大使として46年ぶりに日本の天皇と食事を共にした。ある外交の情報筋は、「駐日韓国大使が天皇と昼食を共にすること自体が日本の政界や政府に強力なメッセージとなる。今となっては想像すらできない」と話した。

文在寅政府となり、駐日大使の政治的な位置は以前とは確実に変わった。南官杓(ナム・グァンピョ)駐日大使が5日、東京新聞とのインタビューで日韓首脳会談再開推進の意思を明らかにしたことに対し、青瓦台はすぐに「青瓦台と調整できていない立場」と線を引いたのが端的に示す例だ。

外交部の状況も同じようなものだ。「ジャパンスクールの花」と呼ばれてきた東北アジア局長出身の相当数が2012年日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)締結や2015年12月の日韓慰安婦合意に携わったという理由で人事上の不利益を被った。現政府の外交ラインのほとんど唯一の伝統「ジャパンスクール」の趙世暎(チョ・セヨン)外交部第1次官も2012年、東北アジア局長当時GSOMIA締結の問題で公職を離れていたが、6年ぶりに公職に復帰した。趙次官は現政府の当初から日韓慰安婦合意の検討タスクフォースの副委員長を務め、昨年9月に次官級の国立外交院長に就任、今年5月23日に次官として赴任した。

そんな趙次官もまた、大法院判決から8ヶ月を経て、政府が日韓両国の企業の自発的な拠出金で元徴用工らへ慰謝料を支払うという「1+1基金」案を提案する前、非公式に日本を訪問し、この案を提示して断られた。

一つでもまともに作動するチャンネルを確保すべき

日本の外務省の事情もあまりよくない。今回の報復措置を経産省が主導した以外にも時々首相官邸の重要な意思決定過程で外務省が排除されている兆候が見られる。外務省の当局者によると、韓国政府が6月19日、日韓の企業が自発的に基金を作り、賠償するという和解案を提示した時、外務省内部では肯定的な意見もあったという。「この案をもとに外交協議を進めればいい」という意見があったというのだ。

しかしながら首相官邸はこれを一言で断った。元徴用工の判決の問題が解決しなければ、1965年の日韓請求権協定違反という論理だ。この直後、外務省は首相官邸に追加の意見を提出できず、そのまま韓国政府の提案を断る通知をしたとされる。

外交の専門家たちは、両国間の外交チャンネルが事実上作動しにくい状況で、当面は首脳レベルでの妥結は難しいと見ている。文在寅大統領と安倍首相がそれぞれ来年4月の総選挙と今月21日の参議院選挙を前に、日韓の歴史問題は支持層を考えると悪くない選挙用イシューだ。ソウルに駐在するある海外メディアの記者は「双方の首脳が互いをたたく(bashing)ことに快感を感じているのでは、と思うこともある」と話す。ソウル大学国際大学院のパク・チョルヒ教授も「取引と交渉の論理で解決すべきところを、韓国も日本も同じように懲罰の論理でアプローチしている」と話す。

しかし逆に考えてみると、安倍首相の立場を変えられる点や側近を外科手術的に精密攻略すれば、日韓の外交的チャンネルが稼働するかもしれないという期待も持てる。匿名希望の元次官級は「今は多様なチャンネルよりも質的に有効なチャンネルの確保がより重要だ」と話す。既存の外交経路のみならず、追加の経済報復措置のカギを握る経産省や首相官邸、議会など全方位的な水面下のアプローチで突破口を作る必要がある。

一部ではワシントンのカードをより積極的に活用すべきだとの指摘もある。聖公会大学のヤン・ギホ教授は「米国がまだ日本側で報復が実施されているわけではないと見ているが、今後は介入してくるだろう」と話す。潘基文(パン・ギムン)元国連事務総長は7日、ある放送で「米国の仲裁の役割も必要だ。適当な影響力を行使するのではと思う」と話した。

(2019年7月8日付東亜日報 シン・ナリ政治部記者)

(翻訳・成川彩)