YG帝国、相次ぐ麻薬スキャンダル…韓流の中心、K-POPにも影響

YGエンターテインメントの問題が、K-POPと韓流関連業界に衝撃を与えている。業界では、YGはSMエンターテインメント、JYPエンターテインメントと共に20年以上にわたって韓流の大きな柱となってきただけに、K-POP産業のイメージへの打撃も不可避と見られている。YGのヤン・ヒョンソク総括プロデューサーは14日、辞任の意思を明らかにし、「現在の報道や噂の事実関係については、今後捜査の過程を通してすべて真実が明らかになると信じている」と話した。しかしながら、クラブ「バーニングサン」事件など様々な事件で「事実無根→謝罪→芸能人との契約解除」を繰り返してきたのを見ると、捜査が拡大する可能性もある。
京畿南部地方警察庁はYG所属アイドルグループ「iKON」の元メンバー、B.I(本名:キム・ハンビン)の麻薬購入及び使用の疑惑と、ヤン氏の警察捜査もみ消し疑惑についての捜査のため、Aさんとの接触を試みていると、16日、明らかにした。
海外に滞在中のYG練習生出身Aさんは2016年8月、麻薬使用の疑いなどで警察の捜査を受ける過程で、「警察にB.Iの麻薬関連の話をしたところ、ヤン氏が私を呼び出して撤回するよう圧力をかけ、もみ消そうとした」と、最近、国民権益委員会に申告した。Aさんは自身の代理で権益委に申告したパン・ジョンヒョン弁護士を今月初め弁護人に選任した。
京畿南部庁は14日、麻薬捜査隊長をチーム長とする16人規模の「B.I捜査専任チーム」を作った。警察はB.Iの麻薬購入及び使用疑惑の捜査チームと、ヤン氏のもみ消し疑惑の捜査チーム、YGと警察間の癒着疑惑捜査チームなど業務を分けた。警察関係者は「Aさんの証言を通し、B.Iの麻薬使用疑惑と、ヤン氏がAさんを脅迫して警察の捜査をもみ消そうとしたかなどについての事実関係を確認する方針だが、Aさん側と連絡が難しく、まだ捜査の日程を決められないでいる」と明らかにした。
Aさん側は「警察の捜査は信用できない」として、警察でなく検察の捜査を求めているという。
ヤン氏と弟のヤン・ミンソク代表理事が辞意を表明したからといって、YGの活動がすぐに止まるわけではない。YGは14日、代表理事の変更予定事項を公示した。芸能界では、YGが近く新しい代表を選任するとみられている。ヤン・ヒョンソク氏が務めた総括プロデューサー職は空席になる可能性が高い。ヤン・ヒョンソク氏はYGコンテンツの全体的な方向性などに関わっていただけなので、総括プロデューサーがいなくても、YGの他のプロデューサーが制作の実務を続けるとみられる。
YGアーティストとしては、最近人気テレビ番組出身のチョン・ソミがデビューアルバムを、イ・ハイが3年ぶりにアルバムを発表し、活動中だ。世界的に人気のグループ、BLACKPINKも13日と15日にオーストラリアでコンサートを開き、活動している。
ところが、逆風が強い。今回の事態はSNSや海外メディアによって、海外のファンたちにもリアルタイムで伝わっている。CNNは「防弾少年団の活躍でK-POPの人気が海外でも高まっているが、悪い意味での注目度も高まっている」と報じた。ビルボードも「YG創立者のヤン・ヒョンソクが混乱の中で会社を去る」というタイトルで記事を載せた。K-POPファンの一部ではBLACKPINKやチョン・ソミ、イ・ハイ、楽童ミュージシャンなど、今回の事態に関係のないYG所属アーティストを心配する声がある一方、YG音楽の不買運動をしようという雰囲気もある。
YGはBIGBANG、2NE1、BLACKPINKなどの骨太のアーティストを企画して世界の注目を集め、韓流の拡散に寄与してきた。1998年の創立後、YGファミリー、ジヌションなどを筆頭に、ヒップホップ文化を会社のDNAとするほど、自由で個性あふれるイメージのアーティストが多かった。YG特有の家族的雰囲気は、諸刃の剣とも見られてきた。
2NE1の元メンバー、パク・ボムからBIGBANGのG-DRAGONとT.O.P、スタイリストのヤンゲン、元プロデューサーのクシ、V.Iとバーニングサン事件まで、薬物事件が数年にわたって続いてきた。ある芸能事務所の関係者は「YGはコンテンツ制作について自由と個性を強調し、構成員の逸脱をほう助してきた面がある。ここに『トップダウン』方式の意識構造が結合し、二律背反の闇が生まれた」と分析する。
大衆音楽評論家のキム・ユンハ氏は、「警察と政財界の癒着問題まで出てきた状況で、今回は特に徹底した捜査がなされることでしか、YGの他のアーティストはもちろん、K-POP業界、さらに社会的にも疑惑の解消は望めない」と話した。
(2019年6月17日付東亜日報 イム・ヒユン記者、ク・トゥッキョ記者)
(翻訳・成川彩)