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アングル:迫るブレグジット期限、英議会は「一大決戦」へ

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離脱反対派のグッズ。ロンドンで(2019年 ロイター/Hannah McKay)

[ロンドン 15日 ロイター] - 英議会は先月、欧州連合(EU)離脱案に関してメイ首相にEUとの再交渉を求めたが、他のEU加盟国は再交渉に応じようとしていない。

3月29日のブレグジット(英のEU離脱)期日まであと6週間となり、今後の選択肢には合意なき離脱、離脱の延期、離脱撤回も含まれている。

メイ氏は、国内が一致結束していることをEUに示して既に合意した離脱協定の変更を納得させたいと考えていたが、14日に与党・保守党内のユーロ懐疑派と親EU派がともにメイ氏の方針への支持を拒否し、こうした目論見は潰え去った。

以下にこれから予想される重要イベントとその時期を順に記した。

●一大決戦─2月27日

メイ氏は、14日に自らの方針が議会で否決されたにもかかわらず、引き続きEUと離脱協定の再交渉を試みると約束した。

議会が26日までに離脱案を承認できない場合、メイ氏はそれまでの進ちょく状況を議会に報告し、議会は27日に今後の方向性を審議・採決することになる。

何人かの閣僚を含む保守党の一部議員は、これがメイ氏に事態打開を委ねる最後の機会になるとの考えを示唆している。

野党・労働党のイベット・クーパー議員は、この審議を通じて3月13日までに離脱案の承認がない場合、政府に合意なき離脱か離脱延期のどちらかを選ばせる法案成立への支持を得たい構えだ。

●修正離脱協定の採決─2月か3月

メイ氏は、EUと離脱協定修正に合意すればできるだけ速やかに議会に提出すると表明している。以前の離脱案について議会は5日の審議期間を設けたが、今度は採決前にそれほど長い審議があるかどうかは分からない。

●EU首脳会議─3月21─22日

この会議は土壇場で英国とEUが合意する機会になるか、あるいは離脱期限延長を決めて合意なき離脱を回避する最後のチャンスになってもおかしくない。会議が不調で合意への展望がなお見えてこない場合、メイ氏が離脱を延期するか合意なき離脱に踏み切るかを決めなければならなくなる。

●最後の週末─3月23─24日

EU首脳会議で合意の実現可能性が浮上してくれば、担当者はこの週末で最終合意に向けた詰めの作業に従事し、英議会の承認獲得を条件として6月30日まで離脱期限を延長できる。そうした発表は3月24日か25日に行われるだろう。

●最終週─3月25─29日

EUと英国が合意に達したなら、英議会は恐らく3月26日に採決が可能だ。欧州議会もこの週に批准できる。

●離脱期限─3月29日かそれ以降か

メイ氏が3月29日までに離脱案に関する議会の承認を得られない事態になると、合意なき離脱に直面するか、合意を目指す時間を確保するための離脱期限延長を求めざるを得なくなる。EUが延長を受け入れるかどうかは分からない。

労働党のコービン党首など一部の議員は、政府が離脱延期要請を迫られるのは「不可避」であり、それは3月29日までに必要な立法手続きをする十分な時間がないからだと話す。アンドレア・レッドサム下院院内総務は、離脱期限を数週間後ずれさせるべきかもしれないとの見方を示している。

●欧州議会選

欧州議会は5月23─26日の選挙を経て新たな勢力図が生まれる。新議会の開催は7月2日からで、EUが英国の離脱延期の許容限度をこの日とする案が浮上している。

EU側の主張では、英国がそれ以降まで離脱を延期するつもりなら、国内で欧州議会選挙に向けた態勢を整える必要があり、そうしないとEUに残留しているのに英国民から代表を送り出す権利を奪うことになる。EU内では英国が実際に欧州議会選の準備をしないのではないか、または英国で選挙が実施されれば強力なユーロ懐疑派議員が当選してEU批判勢力を増やしてしまうのではないかとの懸念が出ている。

●離脱延期─6月末まで

英国が離脱延期を要請した場合、1つの案として6月30日がEU内で話題にされている。新たな欧州議会が稼働する7月2日より前の最後の日曜日だ。EUの一部には、英国は5月23日までに欧州議会選挙を実施する必要があるため、この日より前に離脱すべきだとの声がある。

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