Why developers are offering ‘experiences’ to attract suburbanites
2019年1月3日付 ワシントン・ポスト紙
近年、アメリカの郊外で目立っているのはmixed-use developments(多目的開発)だという。これはオフィスや住宅、ショッピングにエンターテインメントと、一区画の中に全てが含まれているものを指す。中には駅の近くにこれらが並んでいるものもある。
かつてはチェーン店やスタバさえあれば、十分にvibrancy(活気)を生み出せると思われていた。だが、最近ではsuburbanites(郊外居住者)を引き寄せるため、開発業者は一層の工夫をしていると、この記事は指摘している。今、需要があるのは「体験」で、特にshare-worthy(SNSでシェアする価値がある)ものだそうだ。ネット上では不可能な、生身の人間同士のインターアクションを実現させることが、開発業者の知恵の出しどころの一つになっている。
開発業者はfire pits(たき火のための設備)やsplashable fountains(水を跳ね上げて遊べる噴水)から、tot lots(幼児の遊び場)まで様々な設備を採用。カクテルを飲める映画館やbocce ball(ボーリングのようなイタリアの球技)の設備といったアメニティーも誕生している。冬には人工雪をつくる機械を持って来たり、夏には大量の砂で人工ビーチを造ったりと、季節に合わせたものも多いという。人びとが外でhang around(ブラブラする)ことを促すような開発には、投資するだけのbusiness case(ビジネス上のメリット)があると開発業者らは感じている。
より一層authentic(本物の、確かな)コミュニティーをつくることも彼らの狙いであるという。現代の職場では、知的労働者たちは集まってコミュニケーションをとることで、bounce ideas off each other(アイデアを出し合う)。実は職場だけではなく、人生の様々な場面でも、彼らはそうしたことを求めているそうだ。また、SNSに使う時間や自宅勤務、車の中にいる時間が増加する中で、人びとは孤独を感じてsocial connection(社会的つながり)を求めているとも言われている。だからこそ開発業者はこのような「体験」の機会に溢れるコミュニティーをつくり、多くの居住者を獲得しようとするのだという。
他にも理由がある。地方自治体や都市計画者はinner suburbs(大都会の中心に近い郊外)をrevitalize(再活性化させ)つつ、交通量をcurb(抑える)ため、コンパクトな多目的開発を目指していると記事は指摘する。また、最近決定したアマゾンとマリオットの新本社の場所の選定でも、公共交通機関まで歩ける距離にあり、豊かなアメニティーが揃っているといった特徴が重視されたようだ。今や都市開発競争に負けたくなければ、居住者に豊富な良い「体験」を提供しなければならなくなっている。