“As gentrification escalates in Calif., people wonder:Where can the homeless go?”
5月6日付 ワシントン・ポスト紙
カリフォルニアの良好な気候は、州の美点であり、世界中から優秀な人々を引き寄せる要因の一つでもある。この気候は別のグループにとっても魅力的なようだ。ホームレスだ。米国のホームレスの約4分の1がカリフォルニアに住んでいて、野外や自動車内に住む比率は、他州と比べて最も高いという。街中や川沿いにキャンプ地をつくり、テントに住むホームレスも多い。こうしたキャンプの特徴はsqualor(不潔さ)で、麻薬などの犯罪も多い。
好調なカリフォルニア経済が問題を解決してくれそうに思うのだが、実は逆に悪化させているようだ。ビジネスが活発な海岸沿いの都市のgentrification(地区の高級化)がescalate(エスカレートして)、地方自治体はホームレスに家を提供する費用が賄えなくなり、多くのホームレスが都会の高級住宅街にmarooned(置き去りにされている)という。市街地に奇麗なマンションやタウンハウスを買うのにsmall fortunes(かなりの金額)を払った人にとっては、ホームレスは苛立ちの元であり、compassion fatigue(共感疲労)もある。ホームレスキャンプを片付けてそこに住む人々を追い出したうえ、近所に彼らのための住宅を造らないよう政府にagitating(求めて運動している)人々もいる。今回の記事は、そうした彼らの心情が説明される一方、desolate(荒涼とした)場所しか住む場所のないホームレスの立場も紹介している。
私自身カリフォルニア住民として、記事に複雑な感情を抱く。サンフランシスコ市内を歩くと、ホームレスがあまりに多く、街は汚い。怖いと感じることもある。だが、彼らの多くは運が悪かったり、メンタルに問題を抱えていたりして、かわいそうな面もある。カリフォルニア州の税率は高く、資金豊富なハイテク企業もそろっているのに、なぜうまく解決できないのか。工夫すれば、税金で社会会的弱者を救えるはずだ。記事によると、ホームレスに住宅を提供する予算は承認されたものの、政府が迅速に対応できていないという。根本的な原因の一つであるaffordable housing(手頃な価格の住宅)がいまだに不足していることも疑問だ。こうした問題は明らかに政府の失敗と言っても過言ではないだろう。
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