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パリの日本人観光客、6割以上減った

パリ同時多発テロ後、ルーブル美術館を警備する兵士=ロイター

パリには毎年3500万人の観光客が訪れます。昨年11月のテロは、観光業界に大きな影響を及ぼしました。テロ後、12月までの1カ月間、パリを訪れる人の数は前年に比べて25%減りました。

パリを訪れる人をビジネスとレジャーの2種類に分けると、ビジネスでの訪問客の数は比較的早く復調しました。11月末から12月上旬にかけて開かれた国連気候変動会議(COP21)の成功が大きかった。世界各国の指導者が参加し、世界中から4万人が集まる一大イベントを問題なく実施できました。これだけの大きな会議をパリで開けるのだと、世界に示すことができたのです。


ビジネス客に比べれば、レジャー客への影響はずっと深刻です。2月になって少し改善はしていますが、平年に比べればまだまだ少ない。いつまでこの状況が続くかは分かりませんが、2004年のマドリード、2005年のロンドンでのテロ後の状況と比べて考えれば、通常の水準に戻るまで、希望的観測でもあと4~5カ月かかるのではないかと見ています。

政府が宣言した非常事態が今も続いていることは、観光業界に影響しています。非常事態はフレンドリーな言葉ではありません。外国からの観光客を怖がらせてしまっていることは私も理解できます。観光業界の立場から言えば、非常事態は短ければ短いほど良い。

でも非常事態は、一般の人たちの生活や、観光客の行動には、何の影響もありません。ホテルもレストランもカフェもナイトクラブも劇場も美術館も通常通り営業しています。道を歩いて、ショッピングをしても何の問題もありません。たしかにエッフェル塔の下では銃を持った兵士たちが警備していますが、彼らはテロ前もいました。

一部の劇場や美術館でセキュリティーが厳しくなっているかもしれません。荷物検査や身体検査で中に入るまでに少し時間がかかるかもしれません。それは非常事態とは関係なく、劇場や美術館が自分たちの判断でしていることです。その程度の違いしかありません。

非常事態は、特に日本人に大きな影響が出ています。先ほど、パリの観光客が全体では25%の減少と言いましたが、日本人観光客の数は60%以上減っています。日本人観光客は毎年50万人ほど来てくれていますから、私たちにとってとても重要です。

テロが再びパリで起こる可能性があるかどうか。それは誰にも分かりません。でも私は確信しています。フランスの政府と警察と軍隊がテロを防ぐためにできるかぎりのことをすべてやっていると。非常事態もその一環です。

繰り返しになりますが、非常事態はパリジャンにも観光客にも何の影響もありません。パリは素晴らしい街です。世界中から観光客を歓迎する準備ができています。(構成・左古将規)

Nicolas Lefebvre
エッフェル塔の運営会社トップを7年務めたあと2013年からパリ観光局長