家事代行サービスは、これからの日本社会のカギを握っていると思います。女性が活躍し、ゆとりをもって働き、暮らしていくためには絶対に必要です。お金に余裕のある特別な人たちだけではなく、シングルマザーなど、日々の暮らしに苦労している人たちこそ使えるような社会になってほしい。
そのためにここ5年ほど、政府に3つのことを提言してきました。1つは家事代行サービスの利用料を税制控除の対象にしてほしいということです。利用者が少しでも使いやすいイメージを持つために必要です。2つめは、子育てにも介護にも使えるバウチャー(利用券)を発行してほしいということ。子ども手当よりも有効だと思います。思い込みによる価格が高いというイメージが根強いこと、家事を人に任せることに対する精神的なバリアーの高さが家事代行サービスの利用が進まない大きな理由ですが、国が方針を掲げれば、こうした壁はすぐに崩れると思いますし、バウチャーがあれば経済的負担も軽減できます。最近ではベアーズと契約し、社割で従業員が家事代行を使えるようにする企業も増えているのは、うれしい傾向です。
そして3つめは外国人家政婦が日本で働けるようにしてほしいということです。外国人だから安く使えるのだろうというイメージをもたれがちですが、事業者としては採用や教育、住居環境を整えるなどの管理コストもあるので、一概に安いというわけでもありません。電車の乗り方から語学、日本の文化慣習などなど、教えることは山ほどあります。
また、来年始まる特区では、正規社員のような給料制にすることを求められていますが、弊社も含めて業界は全体的にパート契約が主流なので、外国人だからといって正規の保障をするというのも難しい課題ではあります。
とはいえ、利用者側のニーズは爆発的に増えているのを感じます。私がかつて暮らした香港では、20代のごく一般的な共働きの夫婦が月7万円ほどで家政婦を雇っていました。私が夫と共働きをしながら2人目の子どもを産もうと思えたのも、家事を担ってくれる家政婦がいたから。とても感謝しています。日本でも、暮らしの新しいインフラになる日が来ればと願っています。
〔構成:田玉恵美)