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難民に法的な滞在資格を マレーシア国民大学 アジザ・カシム教授

World Now
左古将規撮影

マレーシアは難民条約に加盟していません。ただ、難民の滞在を人道的に認めています。その滞在はあくまでも一時的なものです。いまマレーシアにいる難民の多数を占めるミャンマー難民には、法的な滞在資格はありません。政府は2006年にミャンマー難民に滞在資格を与えようとしましたが、実現しませんでした。


マレーシアはマレー系、中華系、インド系からなる多民族国家です。かつて1980年代に、インドネシアのアチェから来た難民に政府が滞在資格を与えた際、中華系の野党は「(マレー系の)政府がマレー系の人口を増やそうとしている」と批判しました。政府はその批判をとても気にしています。それが、いまミャンマー難民に滞在資格を与えていない理由の一つです。


もう一つの理由は、難民に滞在資格を認めることで、さらに多くの難民を呼び込むことになるからです。政府が難民に滞在資格を与えようとしているというニュースが流れたとき、タイとマレーシアの国境に新たに数千人の難民が押し寄せてきたと言われています。


マレーシアは労働力不足で、240万人の外国人労働者を合法的に受け入れています。私は、難民にもきちんと法的な滞在資格を与えて、労働を認めるべきだと考えています。そうすることで多くの問題が解決します。


難民を「不法移民」のままにすることは、まず治安の面で良くありません。仮に彼らが犯罪に加担したとき、滞在資格を与えていなければ記録にも残っておらず、誰が誰か分かりません。


「不法移民」には労働法も適用されません。彼らはマレーシア人がしたがらないようなキツい仕事でも、最低賃金の半分の給料ででも、喜んで働きます。彼らは安い労働力として、マレーシアの労働力不足を補ってくれています。でも、それで得をするのは雇い主だけです。長い目で見れば、マレーシア人の働く場所を奪い、労働条件を切り下げることにつながります。


難民に法的な滞在資格を与えることが、マレーシアの国にとっても、人にとっても、利益になると私は考えます。