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巡礼・インタビュー編(上) サンティアゴ・デ・コンポステーラの首席司祭に聞く

Re:search 歩く・考える
「いまや多宗教、多文化の巡礼路になった」と語るサンティアゴ大聖堂首席司祭セグンド・ペレス=9月、スペイン北西部サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂内で、村山祐介撮影

――巡礼者が急激に増えています。


かつてはほとんどが仏独伊といった欧州諸国でしたが、近年は日中韓やインドといったアジアや、米国からも来ています。いまやキリストの12使徒の1人だった聖ヤコブの墓に参るというカトリックの巡礼路を超えて、多宗教、多文化の巡礼路になっています。口コミやマスコミの影響も大きいと思います。

――カトリック信者ではなくても巡礼者として迎えるのはなぜですか。

カトリック教会は個人の良心を尊重しており、何も強要したり、押し付けたりはしません。何が巡礼の目的なのかは立ち入らずに受け入れています。

――宗教を問わないとすると、巡礼者とは何なのでしょうか。

人生の意味を探す人だと考えています。単なる物質的、一時的なはかないものよりも先にあるものを、それぞれの個人的、宗教的な立場から模索する人たちです。カトリック教徒なら聖ヤコブの墓と出会うことを通じて、それ以外の人は自分が歩いた経験そのものを通じて、人生の意味を見つけることになります。

――四国遍路ではほとんどがバスや車を使いますが、サンティアゴでは徒歩か自転車、馬で巡礼しなければ巡礼証明書はもらえません。どうして自力で移動することを条件にするのでしょうか。

歩くことは人生の象徴です。歩くことで、自分と出会い、周りの人や自然とも出会います。電車やバス、飛行機、そして自転車でさえ、私にはやはり本物ではないという感じがします。

――最短で証明書をもらえる出発点のサリア以降に巡礼者が集中しすぎて、巡礼路の雰囲気や意義が失われているとの指摘があります。証明書の条件を100キロから300キロに伸ばすべきという意見もありますが、どう考えていますか。

サリア以外で100キロの条件を満たせるほかの道の利用を促進すべきでしょう。条件を300キロに伸ばしても結局、同じことが起こるだけです。巡礼の宗教的、精神的な意味を忘れて、観光促進に使おうとする人や、巡礼路が通ればお金になりますから、自分の町や家の前を通ってもらいたいという人もいます。

――観光化をどう受け止めていますか。

スペイン人やフランス人などの間で、宗教性、精神性がすっかり失われ、巡礼の意味を忘れた観光化が非常に進んでいるのが大問題です。東洋から来る人たちはむしろ精神性を非常に保っているように見えます。