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トランプ当選、記者はすぐアメリカに飛んだ(3)

World Now
「愛は憎しみに勝る」と書かれたプラカードをお掲げるデモ参加者=11月11日、ニューヨーク・ワシントンスクウェア、大島隆撮影

Not my President!

ニューヨークでの取材を終えたところです。ニューヨークに滞在していた2日間、あちこちでデモがありました。

「愛は憎しみに勝る」と書かれたプラカードをお掲げるデモ参加者=11月11日、ニューヨーク・ワシントンスクウェア、大島隆撮影

ニューヨーク大学近くの公園であったデモでは、大勢の若者が「Not my president!(私の大統領ではない)」「Love trumps hate!(愛は憎しみに勝る)」などと連呼していました。デモをフェイスブックで呼びかけたのは、19歳のニューヨーク大の学生。デモの群衆から少し離れた所に立つ彼女の隣で、若者たちが交代でハンドマイクを手にして、それぞれの思いを口にしていたのが印象的でした。

デモを呼びかけたニューヨーク大の学生(右)と、拡声機で自分の思いを伝える男性=11月11日、ニューヨーク・ワシントンスクウェア、大島隆撮影

ニューヨーク市ではクリントン氏が8割という圧倒的な票を獲得しました。ニューヨークのような都会に住む多くの人たちにとっては、トランプ氏の当選は、にわかには受け入れがたい現実なのかもしれません。

聞いてみると、デモに参加した理由は様々でした。

「トランプ次期大統領や彼のキャンペーンで攻撃されたLGBTやイスラム教徒らに連帯を示し、支えるために来ました」(男性俳優)

「トランプが私たちのすべてを代表しているわけではないことを、世界に知って欲しい」(女性医師)

トランプ氏を大統領として認めないという人もいれば、選挙結果は受け入れるが、トランプ氏の主張や価値観に反対の声を上げるために来ている人もいます。話しているうちに、涙を浮かべる人もいて、こちらもなんと声をかけていいか、言葉につまることがありました。

一方、トランプ陣営も黙っていません。選対幹部は13日、ツイッターで「『団結や癒やしを』というなら、私たちが言われたこの言葉から始めましょう。選挙の結果を受け入れますか?」。トランプ氏は投票前に、「選挙結果を受け入れる」と明言しなかったことで批判されましたが、それを逆手に取ったのです。

「Not my president!(私の大統領ではない)」という合言葉が飛び交うニューヨークの街=大島隆撮影

そしていま、アメリカ社会で急速に高まっている懸念が、マイノリティへの差別です。ラティーノ、アフリカ系、ユダヤ系、ムスリム、LGBT…。アジア系も例外ではありません。USAトゥデーの週末版は、一面トップでこうした事件が急増していることを伝え、「Make America White Again(アメリカをもう一度白人の国に)」という言葉とナチスのカギ十字のシンボルが、壁一面に落書きされた写真を掲載しました。ニューヨーク州北部で見つかったそうです。

この2日間、私は大規模なデモがあったマンハッタンではなく、主にクイーンズを取材していましたが、何人もの口から「怖い」という言葉を聞きました。

クイーンズはかつて私が住んだ街で、ドナルド・トランプ氏が生まれ育った街でもあります(トランプ氏の生まれた場所は、私が住んだところとは比べものものにならない高級住宅街ですが、そのあたりは特集でお伝えできればと思います)。ニューヨークでも特に多様性に富んだ街ですが、今年はモスクから出たイスラム教の指導者が銃殺される事件があったほか、スカーフを巻いた女性が殴り倒される事件も起きています。自分が自分であるというだけで攻撃されるかもしれないという恐怖が、残念ながらこの街にも広がっています。
 
ニューヨークでは、以前取材をしたトランプ支持者の男性にも再会して、トランプ氏をこれほど多くの人々が支持した理由や、今後の政権への期待、いまの社会の状況についても聞きました。そのあたりは特集で詳しく書きたいと思います。これからオハイオでの取材です。また、この取材日記でも紹介していきます。