“A month after Las Vegas carnage, bupkis on bump stocks.”
2017年10月31日 USAトゥデー紙
ラスベガスで10月にあった事件はショッキングだった。男がホテルの32階から、野外コンサートに集まった2万人以上の人びとに向かって銃を乱射。58人もの死者を出し、けが人は約500人に上った。短時間にこれほどの被害が出た理由の一つに、銃にbump stock(バンプストック)がつけられていたことがある。これは引き金を引くと1発ずつしか発射できない半自動小銃を、全自動のように連射を可能にする機器だ。男はこれを使い、2分間に300発もの銃弾を撃った。
今回取り上げたのはUSAトゥデー紙の社説で、このバンプストックの規制が進まないことを批判している。事件直後に規制を求める声が次々に上がり、今度こそsanity(正気、健全さ)がprevail(最終的に勝利する)のではないか、という望みがあったという。共和党上下院の有力議員らがバンプストック禁止に向けた検討を支持すると発言したからだ。
しかし実際に議会が動き出そうとすると、銃規制強化に反対する米国有数のロビー団体National Rifle Association(NRA、全米ライフル協会)が「結論を急ぐべきではない」と声明を発出した。この団体は政治家らに多額の献金をしていて政界への影響力が大きい。結果、この社説が書かれた時点では議会は本格的には動き出さず、バンプストックの購入を規制するlame half-measure(その場しのぎの妥協案)が検討されているという。
バンプストックの規制はbupkis状態だ。これはイディッシュ語由来で、意味は「全くのゼロ」や「何もない」で、期待が裏切られたことを示す。バンプストックと同じ「bu」で始まり「p」と「k」の文字があって目を引き、音の面白さもある。
この社説は、spineless(背骨のない、腰抜けな)議員がNRAの望み通りのことをしただけだったと批判している。短時間でのcarnage(大虐殺)を企図する者にだけ役立つようなバンプストックは必要ではなく、銃規制に反対する圧力団体よりも国民の安全を優先するべきだと主張する。そんな言うまでもないことが議論されていることを、私自身一国民として、とても悲しく感じる。
(USAトゥデー紙の記事はこちら)